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NOVA元生徒が英会話学校再開 閉鎖の大阪・泉佐野校

2008年02月15日08時19分

 昨秋倒産した英会話教室大手「NOVA」の受講生だった男性が、かつて通った大阪府泉佐野市の泉佐野校のフロアを借りて、英会話教室を立ち上げた。大阪府泉南市で合成繊維のリサイクル工場を営む井田隆士さん(45)。多くの仲間と出会えた思い出の場を取り戻し、元外国人講師の生活を支援するため、私費を投じた。本格的に生徒募集を始めるのを前に、多くの「同窓生」が協力を申し出ている。

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授業で談笑する井田隆士さん(左端)と講師のマット・ウイーナーさん(右から2人目)=11日、大阪府泉佐野市で

 10日、南海泉佐野駅前のビル3階の一室。米国人と英国人の元NOVA講師2人を生徒4人が囲み、英語で語り合う方式で初授業が始まった。講師が「飛行機に乗るなら、どの航空会社が好き?」と話しかけると、生徒らがじっと考え込む。井田さんは、その様子を笑顔で見つめた。

 今月中は希望者を集めて、こうしたディスカッション形式での授業をする。3月からは正式に生徒の登録を受け付け、講師1人に生徒4人の形でほぼ毎日、授業を開く予定だ。受講料は40〜50分の授業1回で2500円以下と、NOVAより安く抑えたいという。

 旧泉佐野校は、5年間通った井田さんにとって思い出が詰まった場所だ。20代から60代まで、さまざまな職業の男女が談話室で講師を囲んで語り合い、多くの友人もできた。だが、昨年10月、NOVAが経営破綻(はたん)し、泉佐野校は閉鎖。前払いしていた受講料50万円も消えた。

 今年1月、同校が入居していたビルの前を通りかかり、「テナント募集」の張り紙を見つけた。すぐに不動産屋に電話をかけ、同校の備品の所有権がビルのオーナーに移ったと聞かされた。

 「ここに元講師を呼び集め、新たな教室を開けないか」。そんな夢をNOVAで知り合った友人たちに打ち明けると、「やるなら協力する」。早速、オーナーとフロアを借りる契約を結び、備品も買い取るなど約500万円を費やした。

 支援の輪はすぐに広がった。生徒募集のチラシづくりを旅行会社員の女性(23)が担い、受け付け業務も引き受け手が見つかった。職を失った元講師らにも声をかけ、米国人のマット・ウイーナーさん(23)が働くことを決めたが、待遇面で迷っている人もいる。

 井田さんは「講師の不安を解消するためにも、早く多くの生徒を集めたい」と話し、ホームページで募集している。講師3人で採算が合う120人が目標だ。

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