台湾産なのに、愛知県一色町で育てたと偽って売ったことが発覚した一色ウナギの生産、加工、販売に携わる組合や業者、県、町は10日、牛肉のように、生産や流通の経過を消費者がたどれる仕組みを作る方針を決めた。養殖ウナギの生産量日本一を誇る一色ウナギのブランドへの信頼回復を目指す。
牛肉の場合、牛海綿状脳症(BSE)や偽装問題を受けて03年に牛肉トレーサビリティー法が施行され、消費者は商品の個体識別番号から牛の出生地や処理された場所を知ることができる。ウナギはこうした制度がなく、県によれば、個々の加工業者や問屋が取引の際に独自に書面を出すなどしているだけだ。
一色うなぎ漁業協同組合が、台湾から輸入したウナギを「国産または一色産」としたり、「一色産うなぎ」と書かれた地域ブランドのマークを付けたりして売っていたことが、6月に農林水産省などの調べで判明。大阪と神戸の業者による偽装事件では中国産ウナギが「三河一色産」と偽られ、一色ウナギのマイナスイメージが拡大した。
このため、一色ウナギの関係業界や自治体は10日に急きょ会議を開き、牛肉のようなトレーサビリティー(履歴管理)の仕組みを作ることにした。作業部会で具体的な議論を急ぐ。牛のように1頭ごとの管理は難しいとみられ、養殖した池単位で管理する方法などが検討される見込みだ。
ウナギ業界では、幼魚を台湾に輸出して育て、逆輸入して国産として売る「里帰りウナギ」の手法が採られてきた。同漁協の偽装の背景にこうした不透明な慣行があったとの反省から、会議では「里帰りうなぎは扱わない。輸入したうなぎは『輸入』と表示する」と決議した。
会議後、同漁協の大岡宗弘代表理事組合長は「里帰りウナギは一切扱わない。消費者の目はますます厳しくなっており、深刻に受け止めている」と語った。(連勝一郎)