責任をかぶってくれれば、逮捕されてもこの先面倒をみてやる――。中国産ウナギの産地偽装事件で、ウナギ輸入販売会社「魚秀(うおひで)」(大阪市)の中谷彰宏社長(44)と水産物卸売会社「神港魚類」(神戸市)の担当課長(40)らが、偽装の隠蔽(いんぺい)工作を話し合ったとされる際の詳細なやりとりがわかった。中谷社長がこう持ちかけ、課長が暗に1億円を要求したという。
兵庫、徳島両県警の合同捜査本部の任意聴取に、中谷社長が証言した。
関係者によると、魚秀の福岡営業所長と、神港魚類の担当課長が1月、中国産かば焼きの「三河一色産」への偽装を計画。神港魚類は3月、魚秀から仕入れた偽装かば焼きの出荷を始めた。5月27日、魚秀の中谷社長が課長に「報奨金」として1千万円を渡したとされる。
課長は6月初旬、「うちの取引先に農林水産省の調査が入った」と福岡営業所長に連絡。同月10日、徳島市内で中谷社長と課長らが同省の調査をどう乗り切るか相談した。課長は「こういうことになってすみません」と謝罪。中谷社長は「偽装の責任を課長と福岡営業所長にとどめれば魚秀は存続する。仮に逮捕されてもこの先は面倒をみてやる」と話したという。
その3日後、神戸市内に再度集まった。課長は「会社員の年収500万円として、20年で1億円。これだけあれば海外で暮らせるだろうな」と中谷社長に持ちかけ、魚秀幹部が「じゃあ1億円をやるから、責任をかぶってくれよ」と応じたとされる。課長は席を外して妻に電話。たしなめられて席に戻り、「私は知らなかったことにしてもらいます」と申し入れを断ったという。
一方、神港魚類によると、課長は合同捜査本部に「中谷社長から5月に1千万円を手渡され、初めて偽装を確信した。怖くて会社に報告できなかった」などと話し、関与を否定している。