森敏一社長の自宅から資料などを運び出す山口県警の捜査員=29日午前9時9分、山口県下関市
エツヒロの工場に入る山口県警の捜査員=29日午前8時45分、山口県長門市仙崎
山口県下関市の水産加工卸売会社「エツヒロ」(森敏一社長)が中国産フグやアンコウを国産と偽って販売していた問題で、県警生活環境課と下関署などは29日、不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで、本社事務所が置かれている同市内の森社長の自宅や長門市の工場など関係先十数カ所を家宅捜索した。森社長からも任意で事情聴取し、産地偽装の全容解明を目指す。
第1工場の工場長(42)は捜索終了後、「偽装については認識していた。工場長の判断だけではない。知っていたのは私だけではない」と報道陣に語り、会社ぐるみの偽装だったことを示唆した。
調べでは、エツヒロは今月上旬、中国産の養殖トラフグの刺し身数十パックに「熊本県産」のラベルを張り、県外のスーパーに販売した疑い。県警は同社に中国産フグを卸した東京都内の業者や、同社の販売先から事情を聴いていた。その結果、エツヒロが国内外のフグの価格差を利用し、不正に利益を得ようとした疑いが強いと判断した。
県警によると、この日の捜索は約100人の態勢。森社長の自宅には午前7時ごろ、県警の捜査員約15人が段ボールを抱えて入った。午前9時すぎには約10箱分を運び出し、森社長とともに県警の車に乗り込んだ。
長門市の工場でも午前8時45分、県警の捜査員17人が家宅捜索に入った。フグなどを1次加工する第2工場と刺し身など最終的な商品に仕上げて産地のラベルを張る第1工場の2棟があり、いずれも捜索を受けた。
エツヒロに対しては農水省が23日、日本農林規格(JAS)法に基づく改善指示を出していた。
同省が確認しただけで今年3〜6月、中国産の養殖トラフグを熊本県産として約1200キロ、シロサバフグを山口県産として約800キロを、それぞれ刺し身などにして販売していた。中国産アンコウも山口県産として切り身などで約3トンを出荷。から揚げなどの加工品でも山口県産として約1100キロを販売していたという。
同社は約3年前から年間20〜30トンの中国産フグを仕入れていたという。森社長は記者会見で「偽装は指示していない」と計画性を否定したが、一方で「中国産のラベルを作ったかは記憶にない」とも話していた。