記者会見で謝罪する神港魚類の大堀隆社長(左)=25日午前、神戸市兵庫区、西畑志朗撮影
ウナギの産地偽装がまた明らかになった。今回は水産大手のマルハニチロの関連会社が関与した取引で、大量の中国産のかば焼きが愛知産と偽って販売されていた。中国産食品への信頼が揺らぎ、販売不振に陥った業界事情が背景になっていた。
日本養鰻(ようまん)漁業協同組合連合会(静岡市駿河区)の若林稔参事は、中国産食品への消費者の不信感を受けて小売店から国産ウナギを求める声が高まった一方、ウナギの国内への供給量に占める国産の割合は2〜3割にすぎないことが偽装を生む温床になっていると指摘。「生産者がまじめにやっていても、販売の段階で不正があると国産養殖ウナギ全体への信頼が損なわれる」と困惑する。
逆に、国産への偽装が中国産ウナギへの不信感を固定しかねないことに気をもむ関係者もいる。中国産ウナギの安全をPRしている日本鰻輸入組合の組合員で、千葉県木更津市で川魚店を営む伊藤治巳社長(55)は「中国産は歯ごたえもあり、味も国産と変わらない。国産とした方が高く売れるというもうけ主義から偽装してしまったのだろうが、残念だ」と話した。
今回の偽装で被害者の立場となった愛知県一色町の一色うなぎ漁協も今月中旬、台湾からの輸入ウナギの加工品の一部に地域ブランドの認証マークをつけて販売していたとして農林水産省から指摘を受けている。大岡宗広組合長は「ブランドの大切さを改めて痛感している。不祥事で迷惑をかけたが、一連の問題を一つの契機として、一色ブランドをきちんと啓発し、普及させていく取り組みを進める」と話した。
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徳島市南沖洲1丁目の魚秀徳島営業所には、農水省が偽装問題を公表した午前10時ごろから、報道陣が詰めかけた。中谷彰宏社長は「悪いというのは分かっていたけど、神港魚類との利害が一致し、なんとなく始めてしまった。一色産としたのは深い意味はなく、有名なブランドで売れると思ったから」と説明した。
中谷社長は「短い期間なら、やり抜けるんじゃないかと思った。食に対する不信感をさらに募らせてしまって、申し訳ない」と謝罪した。
一方、登記上の本店となっている大阪市中央区のビルの4階には同社の社員らの姿はなかった。同じフロアの不動産会社の社長は「3年ほど前から事務所を借りているが、社員とみられる人は年に数回しか、ここでは見かけない」と話していた。