隣接するヤマキとマルトモの本社工場=愛媛県伊予市
カツオ削り節最大手のヤマキ(愛媛県伊予市)が、日本農林規格法(JAS法)で「枯れ節」とは呼べない商品を5年半にわたり、「枯れ節」として販売していたことが農林水産省の調べでわかった。業界2位のマルトモ(同)も鹿児島県の「枕崎産」とした商品の一部に静岡県の焼津産を使っていたことが判明。農水省は近く、ヤマキにJASマークの抹消と改善を命令、マルトモには改善を指示する方針だ。
JAS法では伝統的な製造手法や業界の意向を踏まえて、カビの培養と乾燥を2回以上、繰り返したものを枯れ節と定めている。しかし、ヤマキは2〜3週間で1度だけカビ付けしたカツオ節を「枯れ節」と独自に認定しており、農水省はJAS法の製造工程の基準を満たしていないと判断した。削った状態で流通しており、消費者の見た目には、枯れ節と、単にいぶして乾燥させただけの荒節との違いはほとんど分からない。
家庭向けのパック詰めされたカツオ削り節でヤマキは3割のシェアを占め、大半を「枯れ節」として出荷。ここ1年だけでも、60を超える商品の約1800万袋が表示違反になるという。日本生活協同組合連合会(日生協)などから製造を委託されている。
朝日新聞の取材に、ヤマキは「乾燥工程を省いても、カビを2回培養したものと風味や香りが同等のカビを発生させる技術を開発した。従来の枯れ節と成分の分析でも差はなく、技術革新だと判断していた」と説明する。ヤマキの役員の一人は「法令に違反するとの認識はなかったが、技術を過信して、企業としての社会性に欠けていた」と話している。
一方、2割超のシェアがあるマルトモは昨年10〜11月に「枕崎産」として商品を出荷したが、実際には静岡県の焼津産のカツオ節を使用。ダイエーや関西地盤のスーパー・イズミヤなどがプライベートブランドで販売する「枕崎産」と称した5商品で、実際には焼津産のカツオ節を使用。計3万6千袋の産地が異なっていた。
JAS法では輸入カツオでも節を日本で作れば国産と表示でき、カツオ節の製造は鹿児島と静岡の両県だけで生産量の97%を占める。しかし、昨秋、枕崎港へのカツオの水揚げが急減し、マルトモが当て込んでいた枕崎産のカツオ節の確保が困難となったため、静岡県の業者に「集めてほしい」と依頼したという。
これを受け、マルテ小林商店(静岡県焼津市)は昨年10月、計24トンを2回に分けて「枕崎産」として出荷。マルテ側は「2度断ったが、最大の取引先で断り切れなかった」としている。鶴屋水産(静岡県御前崎市)も焼津産を「枕崎産」として出荷していた。マルトモの役員は朝日新聞の取材に「枕崎産が不足した特殊事情によるもので、偽装の依頼や指示をしたわけではない」と釈明している。
静岡県は近く、マルテ小林商店と鶴屋水産に改善を指示する方針。(歌野清一郎)