モノトーンでまとめたデザイナーズだるま。後ろは伝統の高崎だるま=群馬県高崎市上豊岡町の「今井だるま店」
師走に入り、全国のだるまの半数以上を生産する群馬県高崎市で「高崎だるま」の生産が追い込みに入っている。家内安全や商売繁盛を願う伝統的なだるまにまじって、最近は、デザイナーが意匠に工夫を凝らしたインテリア用のだるまも登場。インターネットで外国に販路を広げるなど、新たな動きが注目を集めている。
デザイナーズだるまを作っているのは同市上豊岡町の「今井だるま店」。山梨県在住の宝飾デザイナー佐藤純さんと共同で制作した白と黒のだるまを06年から販売している。
高崎だるまといえば、鶴と亀を表す迫力あるまゆとひげが特徴だが、デザイナーズだるまにはひげがないものもあり、体には「七転び八起き」を表すイタリア語の文字が入れられている。
同店3代目の今井裕久さん(38)と、デザインを担当した佐藤さんは大学時代の同級生。異業種交流の一環で話し合ったところ、「方向性が一致した」という。
「だるまは輪郭がはっきりしており、形だけでもオブジェとして成り立つ。色は現代風にモノトーンにこだわった」と今井さん。
神棚などに置いて願掛けをする伝統的なだるまに対し、デザイナーズだるまは置く場所を選ばず、インテリアとして用いられているという。これまでに約1千個が売れた。今井さんは「伝統は大事にしながら、おしゃれなだるまを作りたい」と話す。
インターネットで外国に販路を広げているのは、同市中豊岡町の「戸塚だるま店」。01年からネットで本格的に注文を受けるようになり、現在は英語のホームページもある。ヨーロッパやアメリカなどこれまでに約三十カ国から注文を受けた。昨年はドイツのテレビで紹介され、毎月のように100個、200個と注文が入った。
同店4代目の戸塚貴祐さん(36)は「海外では、日本の伝統工芸に対する関心が高い」という。日本の企業が海外で開く催しのプレゼントとして大量に注文するケースもある。
もっとも、こうした動きは55軒の高崎だるま製造業者の中ではまだ少数だ。県達磨(だるま)製造協同組合の中田純一理事長(56)は「だるまを買ったことのない新たな客層に受け入れられるものを作ろうとするのはすごい」とたたえる。
ただ、伝統工芸品としての高崎だるまの意匠や技術を受け継いでいく必要もあり、中田さん自身は「品格あるだるまにこだわっていきたい」と話している。(乳井泰彦)