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金正恩氏の後継体制へ 北朝鮮不安定化の懸念

2011年12月19日15時0分

 北朝鮮は金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去に伴い、後継者で三男の金正恩(キム・ジョンウン)氏を中心とした体制に移る。ただ、正恩氏はまだ20代と若いうえに、後継作業も十分進んでいるとは言えない。国内経済も疲弊しており、不安定な状態が続きそうだ。

 朝鮮中央通信は19日、金総書記の死去報道のなかで、正恩氏を初めて「革命の継承者」と表現した。

 北朝鮮関係筋などによれば、正恩氏はジュネーブで学んだ後、金日成軍事総合大学に籍を置いた。大学では、個人教授形式で学習したとされ、北朝鮮の他の学生とは接触しなかったという。金日成総合大学で学んだ金総書記に比べ、人脈や権力基盤の弱さが指摘されている。

 権力闘争を勝ち抜き、非常に慎重な性格とされる金総書記は2010年、妹婿の張成沢(チャン・ソンテク)氏を国防副委員長に抜擢(ばってき)。実妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)党軽工業部長とともに、正恩氏の後見役を任せた。特に敬姫氏は独自に企業や鉱山などを経営し、北朝鮮で最も外貨を保有する人物の一人とされる。

 そのうえで、軍が全てに優先する「先軍政治」を敷いた金総書記の政治体制を活用。正恩氏は昨年9月、軍大将に任命されると同時に、党代表者会で党中央軍事委員会副委員長に就任した。軍では同委員会で、同じ副委員長に就いた李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長や、大学で正恩氏を教え、同委員になった金英哲(キム・ヨンチョル)人民武力部偵察総局長らが最側近とされる。

 また、治安機関の国家安全保衛部にも権力基盤を置いている。今年初め、同部の実力者だった柳敬(リュ・ギョン)副部長を粛清して権力を掌握。北朝鮮から逃れた脱北者への取り締まり強化を指示するなどしているという。

 ただ、国内の経済は悪化の一途をたどっている。平壌市民の平均月給は約3千ウォン(闇レートで1ドル〈約78円〉)とされるが、コメは1キロあたり3千ウォンから4千ウォンもする。09年末には、市場経済化を食い止め、経済の実権を獲得するために、デノミネーションを実施したが、失敗に終わった。

 北朝鮮の市民の間では、正恩氏に対する関心も低下。当局は市民に対する学習会で、正恩氏の能力を称賛するエピソードを多数紹介し、神格化に躍起だが、浸透していないという。

 北朝鮮は金日成主席生誕100年にあたる来年、「強盛大国の大門を開く」と国民に約束してきたが、履行は難しい状況で、正恩氏は後継早々、困難な状況に直面することになる。(ソウル=牧野愛博)

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