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金総書記死去「兆候なさすぎた」 各国情報機関つかめず

2011年12月21日11時32分

 17日午前8時30分の死去から19日正午の発表まで、計51時間余にわたって伏せられていた北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去。日米韓ロの情報機関は金総書記の動静を注視してきたが、事前につかめなかった。なぜ、諜報(ちょうほう)活動は実を結ばなかったのか。

 韓国国会情報委員会での証言などによれば、韓国の情報機関、国家情報院は17日も偵察衛星による撮影や無線傍受を続けていた。同日午前8時半。金総書記の特別列車は15日から平壌郊外の龍城(リョンソン)駅に停車したままだった。無線の交信量にも特別な変化はなかった。

 北朝鮮軍は19日午前、日本海に向けて短距離ミサイル数発を発射。北朝鮮が特別放送を予告した同日午前10時になっても、北朝鮮軍はさらなる発射に向けた準備の動きを続けていた。

 関係者の一人は「今回はあまりにも兆候がなさすぎた」と語る。1994年7月、故金日成(キム・イルソン)国家主席が妙香山の別荘で死去した際は無線の交信量が急増。平壌からヘリコプター2機が向かった事実もレーダーで把握できた。2008年秋、金総書記が現地指導を再開した際には、長い車列を韓国の偵察衛星が捉えた。

 北朝鮮は近年、無線を使わないですむように平壌と各地の軍司令部などを結ぶ光ファイバー網を整備。昨年3月の韓国哨戒艦沈没事件の直前には、徹底した無線封鎖措置を取った。

 「1号行事」と呼ばれる金総書記の動静は極秘事項。特に健康状態の保秘には気を使い、外遊の際には総書記の排泄(はいせつ)物を持ち帰る徹底ぶりだった。

 19日午前10時の特別放送の予告を聞き、日米韓の情報機関関係者は即座に連絡を取り合った。「まさか、金正日の死去はないだろう」。そんな安易な予測が出回り、さらに判断を誤らせたという。

 日韓の政府関係者は否定するが、中国は発表前に知っていたという指摘も一部にある。生活や経済情報の場合、人の交流が多い中朝関係が物を言う。ただ、核実験などの場合、最大の支援国である中国に配慮して北朝鮮側が「自主申告」するケースがほとんどだ。(ソウル=牧野愛博)

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