2012年4月11日12時4分
玄葉光一郎外相は10日午後(日本時間11日未明)、米ワシントンでクリントン米国務長官と会談した。北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した場合、国連安全保障理事会で対応する必要があるとの認識で一致。日米韓に加え、中国、ロシアが緊密に連携し、北朝鮮に発射直前まで中止を要求することも確認した。
玄葉氏は会談後の共同記者会見で「仮に発射が強行されれば明確な安保理決議違反になる」と強調。そのうえで「日米が連携して安保理を含む国際社会で適切に対応することで一致した」と表明し、新たな国連決議も念頭に協議するとの見通しを示した。クリントン氏も「明らかに深刻な安保理決議違反だ。我々は各国や国連で協議しており、適切な対応をとるべく追求している」と語った。
2009年のミサイル発射では、日米が「強い内容」を盛り込んだ決議を目指したものの、中国が難色を示すなどして議長声明にとどまった。米国は今月、安保理の議長国で、日本としては米国主導での新決議採択に期待している。
会談では、在日米軍再編見直しをめぐり在沖海兵隊の抑止力を維持しつつ沖縄の負担軽減に向けて努力することで一致。玄葉氏は海兵隊のグアム移転費の日本側の負担増は「日本国内で合理的な説明ができなければならない」と伝えた。
玄葉氏は環太平洋経済連携協定(TPP)で、米政府や米国の保険業界が参入障壁だと懸念している郵政民営化見直し法案について「世界貿易機関(WTO)をはじめとする国際約束との整合性を考えている」と説明し、参入障壁にはならないとの見解を示した。その後のカーク・米通商代表部(USTR)代表との会談で、すべての対象分野は日米事前協議ではなく全参加国との本交渉で決着させると確認した。(ワシントン=土佐茂生)
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玄葉光一郎外相とクリントン米国務長官の10日(日本時間11日未明)の会談の要旨は次の通り。
【北朝鮮ミサイル問題】
両外相 日米、日米韓、中国、ロシアなど関係国と緊密に連携し、北朝鮮が発射を自制するようギリギリまで働きかけていく。発射が強行された場合、明確な国連安保理決議違反で、安保理を含む国際社会で適切に対応する。
【在日米軍再編見直し】
両外相 在沖海兵隊の抑止力を維持しながら、早期の沖縄の負担軽減に向けて合意が得られるよう努力する。
玄葉氏 海兵隊のグアム移転費は、日本国内で合理的な説明がきちっとできる必要がある。米軍嘉手納基地以南の先行返還は、具体的で前向きな見通しを示すことが重要だ。
【環太平洋経済連携協定(TPP)】
両外相 交渉参加に向けた日米の事前協議を評価する。引き続き速やかに進めていく。
玄葉氏 郵政民営化見直し法案は、世界貿易機関(WTO)をはじめとする国際約束との整合性を考えている。
【シェールガス対日輸出】
玄葉氏 近い将来、日米協力の新しい分野として切り開くべきだ。
【ハーグ条約】
クリントン氏 今国会でハーグ条約が成立することを期待する。