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密輸貨物船、数隻存在か 中朝間を頻繁に往来

2012年6月24日8時22分

写真拡大瀬戸内海を進む貨物船「HARMONY WISH」。日本に寄港した儀礼として日の丸を掲げている=13日、岡山県備前市沖、朝日新聞社ヘリから、飯塚晋一撮影

写真拡大大連青松船務代理有限公司が入居する高級マンション=21日、中国・大連、石田耕一郎撮影

図拡大中国と北朝鮮をめぐる地図

 昨年8月、弾道ミサイルを運搬する大型特殊車両4両を中国から北朝鮮に運んだ貨物船を運航した中国企業が、所属や船員構成の似た貨物船数隻を使い、中朝間を頻繁に往来させていることがわかった。日本政府はこの企業と北朝鮮の武器輸出入商社との関係を疑い、情報を収集している。

 日本政府関係者が明らかにした。中国は4両の輸出目的を「大型木材を運ぶ民生用」と主張しているが、日本政府は、北朝鮮の武器輸出入商社が当初からこの輸出に関与していた可能性があるとみている。

 問題の中国企業は、大連に本社を置く「大連青松船務代理有限公司」。日本政府の調べでは、同社は4両を運んだ「HARMONY WISH」と大きさや名前が似た貨物船数隻を同時に運航していた。いずれも「HARMONY WISH」と同じカンボジア船籍で、全て、1〜2人のミャンマー人以外は中国人船員という構成。過去5年間で、1隻あたり各10回前後、北朝鮮の元山や清津、南浦などに寄港していた。

 同社の名称は国連安保理の北朝鮮制裁委員会が5月に制裁対象とした北朝鮮の武器輸出入商社「青松連合」と酷似。日本政府も関心を寄せている。

 青松連合は遅くとも2008年ごろ、米政府から制裁を受けていた武器輸出入機関「朝鮮鉱業開発貿易会社」を引き継ぐ形で設立された。北朝鮮軍偵察総局傘下にあるとされる。イタリアや豪州、マレーシアのほか、中国にも支社がある。

 一方、大連青松船務代理有限公司はホームページもなく、詳しい実態はわかっていない。中国は制裁委傘下の専門家パネルで中国での現地調査を拒んでいる。(牧野愛博)

■「北朝鮮には常に貨物送ってる」 大連の疑惑企業

 大連港を見下ろす高台の高級マンション。北朝鮮に大型特殊車両を輸出した「大連青松船務代理有限公司」が入居している。高層階にある部屋の前まで行くと表札はなく、ドアは開いていた。

 のぞくと、100平方メートル以上はあるとみられる広い室内に事務机やソファが置かれ、数人の男女が電話で積み荷をめぐるやりとりをしていた。

 「荷を送れるか」と声をかけると、貿易商と思われ、応接室に通された。そこで、車を北朝鮮に輸出できるかと聞くと、男性社員は「北朝鮮には常に貨物を送っている」と、あっさりと認めた。女性社員も「目的地まで貨物は送るが、積み下ろしなどの手続きには関与しない」と話した。

 彼らの説明によると、同社の社長は中国人で、北朝鮮や日本、韓国、東南アジアなどへの輸送に関わっているという。大連港に近い南浦港など、北朝鮮の複数の港湾名を到着地として挙げた。

 「大型トラックを輸出することもできるのか」。こう尋ねると、「中国国旗以外の国旗を掲げた船を使う。『方便(便利な)旗』と呼んでいて、カンボジア国旗が多い」との答えが返ってきた。同社が使う船は北朝鮮船籍のほか、中国以外の国籍の貨物船を使用することが多いという。

 日本政府が入手した資料から、中国が昨年8月、北朝鮮に大型特殊車両を輸出した際、カンボジア船籍の貨物船が使われたことが明らかになっている。そのことに触れると、女性社員は戸惑った表情を浮かべ、「責任者が休んでいるので、週明けに再訪してほしい」と話を打ち切られた。

 同社を出た後、改めて同社に電話して身分を告げ、正式に取材を申し込んだ。

 すると、男性社員は「すでに中国政府も、中国は(密輸に)無関係だと発表している。今日は事務所は休みだ。もう話すことは何もない。これ以上の報道があれば、弁護士と政府に相談する」と取材を拒否。「日本の友人が記事を送ってくれて読んだ。内容には笑ってしまった。まったくのうそっぱちだ」とまくし立てて、電話を切られた。(大連=石田耕一郎)

■国連安保理決議の着実な実施を期待 外務報道官

 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議の履行状況を監視する専門家パネル(委員団)が中国の決議違反を指摘している問題で、外務省の横井裕外務報道官は22日の記者会見で「コメントする立場にない」としつつ、「中国を含む国際社会が国連安保理決議を着実かつ全面的に実施することが重要だ」と指摘した。

 朝日新聞が入手したパネル報告書では、決議で禁じられた北朝鮮との武器やぜいたく品取引に中国が関与していると指摘。国連は来週初めにも報告書を公表する方針だ。横井氏は会見で、決議違反が明らかになった場合は「(専門家パネルの上部組織である)国連制裁委員会で適切な対応がはかられる。わが国も必要な措置をとっていく」と語った。

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