2012年10月16日11時41分
金正恩・第1書記の主な家族関係
【ソウル=箱田哲也】北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・第1書記の後見人で叔母の金敬姫(キムギョンヒ)・書記が最近、正恩氏の異母兄である金正男(キムジョンナム)氏とシンガポールで極秘に接触していた可能性が高いことがわかった。韓国政府関係者が明らかにした。
敬姫氏に関する北朝鮮メディアによる動静報道は、9月初めから途絶えていた。9月25日に開かれた最高人民会議(国会)に出席せず、10月7日に久しぶりに動静報道が出た。韓国の消息筋によると、敬姫氏は10月4日にシンガポールから北朝鮮に帰国したとされ、正男氏も同じ時期にシンガポールに滞在していたとみられる。韓国政府は2人が接触したとみて、理由について慎重に分析を進めている。
敬姫氏は故金正日(キムジョンイル)・総書記の妹で、朝鮮労働党内の人事などにも強い影響力を持つといわれる。金総書記が健在だった2010年に女性ながら正恩氏とともに軍の大将の称号が与えられたほか、今年4月には書記にも就いた。敬姫氏は夫の張成沢(チャンソンテク)・党行政部長とともに、金総書記の長男の正男氏が幼いころ、実の子どものように世話をしたとされる。
金総書記の後継者に選ばれなかった正男氏は現在、マカオなどを拠点にし、北朝鮮の貿易に携わっているとされる。北朝鮮の改革開放にも前向きな考えを持っているという。正男氏と正恩氏は別々に育てられたため、関係は疎遠だといわれている。
敬姫氏はかねて心臓疾患やアルコール依存症といった健康不安が指摘されており、シンガポール訪問は治療を受けるためとみられていた。しかし、北朝鮮の医師団の同行が確認されていないことなどから、治療目的ではないとの見方が強まったという。
正男氏については最近、脱北者を装い、韓国当局に逮捕・起訴された北朝鮮の工作員が、2010年に正男氏を襲えとの指示を(北朝鮮)上部から受けた、と証言していることがわかっている。韓国政府はこの証言の真偽を分析しているが、敬姫氏の行動とは関係していない可能性が高いという。