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北朝鮮、兵器物資輸出図る 対ミャンマー、日本押収

2012年11月24日5時55分

【動画】北朝鮮から軍需品を運んでいるとみられる貨物船=熊倉隆広撮影

写真拡大東京港でアルミニウム合金を東京税関などに押収されたシンガポール船籍の貨物船「WAN HAI313」=23日午後4時53分、神戸市東灘区、朝日新聞社ヘリから、筋野健太撮影

図拡大北朝鮮とミャンマーを巡るアルミニウム合金輸出の流れ

 【牧野愛博】北朝鮮が今年8月、核やミサイルの開発などに使えるアルミニウム合金を、中国経由の船でミャンマーに輸出しようとしていたことがわかった。米国の要請で、日本政府がこれらを押収した。この輸出は、大量破壊兵器を含む全ての武器とその関連物資の北朝鮮からの輸出を禁じた国連安全保障理事会制裁決議に違反する。決議違反を否定してきたミャンマーと中国への国際的な批判が高まりそうだ。

 複数の関係政府当局者が朝日新聞の取材に明らかにした。オバマ米大統領がミャンマーを訪問するなど、民主化を評価し、制裁緩和と支援の強化に乗り出している日米などの政策に影響が出る可能性がある。

 日本が押収したのは、北朝鮮を意味する「DPRK」と刻印されたアルミニウム合金の延べ棒15個と、長さ5メートル、直径9センチの金属管約50本など。精密検査の結果、このうちの一部が、ウラン型核爆弾の製造に必要な遠心分離器の原材料に使える高強度アルミニウムであるとわかった。

 日米韓は、ミャンマーが既に核兵器開発は断念したと判断。関連国の政府当局者は、ミサイル開発用の部品との見方を示した。

 貨物は7月27日、中国・大連で、台湾の海運会社が運航するシンガポール船籍の貨物船「WAN HAI215」(1万7138トン)に積み込まれ、8月9日には中国・蛇口で同型船「WAN HAI313」(2万7800トン)に積み替えられた。その後、8月14日にマレーシアで別の貨物船に積み替え、翌15日にミャンマーのヤンゴン港に到着する予定だった。

 貨物の動きを察知した米国の求めで、台湾の運航会社はマレーシアでの積み替えを中止。313号は貨物を積んだまま、22日に東京港に入港した。

 米国の要請を受け、日本政府は武器などを積んでいると判断した北朝鮮関連船舶の積み荷を検査できる特別措置法を初適用。東京税関と経済産業省などが積み荷を調べ、アルミニウム合金などを発見した。輸出関連書類や船員の証言からは積み荷が北朝鮮から大連に送られた事実は確認できなかったが、延べ棒の刻印から、北朝鮮が輸出したものと断定した。

 国連の調べでは、北朝鮮は5月にもシリアに武器関連物資を輸出した。北朝鮮は最盛期には武器輸出で年間5億ドル(約412億円)を稼いだとされ、国際社会の制裁で枯渇する外貨を武器輸出などで補おうとしているとみられる。

 輸出先はヤンゴンの建設会社「Soe Ming Htike」。米政府は、同社がミャンマー軍による軍事物資購入をカムフラージュする会社と断定した。

 一方、輸出元は中国・大連に本社がある「大連合興国際公司」。同社は朝日新聞の取材に対し「別の会社に頼まれて荷主になった。押収された事実は知っているが、理由は知らない」と、ミャンマーにアルミニウム合金などを輸出しようとしたことを認めた。日本の捜査関係者によれば、北朝鮮は、中間に複数の無関係な荷主を挟む「武器ロンダリング」を頻繁に行っているという。

 日米両政府は、北朝鮮が十分な遠心分離器の確保に成功したと分析。北朝鮮の核開発を封じ込める政策が事実上破綻(はたん)していることも明らかになった。また日本政府は、北朝鮮が難度の高いアルミニウムの合金技術を持っている可能性は低いとし、中国から手に入れた合金をミャンマーに横流ししたとみている。さらに、軍需産業物資のアルミニウム合金が中国軍の管理下にあるとし、少なくとも中国軍が間接的に関与している可能性が高いとみている。

 中国は過去、国連制裁決議違反の事実を強く否定している。ミャンマーも公式には、昨年3月の民政移管後は、北朝鮮との間で制裁違反につながる取引はないとの立場を一貫して主張している。

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