現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 世論調査
  5. 記事

基地集中は「本土の差別」沖縄で50% 共同世論調査

2012年5月9日8時0分

図拡大沖縄の米軍基地が減らないのは、本土による沖縄への差別か

 沖縄が本土復帰して15日で40年になるのを前に、朝日新聞社と沖縄タイムス社は、沖縄県で電話による共同世論調査を行った。沖縄の米軍基地が減らないのは「本土による差別だ」と答えた人が、沖縄では50%に上った。朝日新聞社が併せて実施した全国調査では29%で、本土との意識の隔たりが浮かび上がった。

共同世論調査―質問と回答〈4月21、22日実施〉

 本土の人たちが沖縄のことを理解しているかとの問いには、「そうは思わない」が沖縄で63%だった。

 沖縄には在日米軍基地の74%が集中する。基地が減らないのは本土による差別だという意見は、当時の鳩山由紀夫首相が普天間飛行場の「県内回帰」を表明した2010年ごろから、沖縄では繰り返されている。今回、「その通りだ」と答えた人は沖縄では年代が上がるにつれて増え、60代以上では60%を超えた。

 一方、全国では「そうは思わない」が58%と、沖縄とは逆の傾向を示した。「差別だ」との答えが最も多かった70歳以上でも、34%にとどまった。

 米軍基地を本土へ移転させることについては、「賛成」が沖縄で56%、全国でも46%だった。10年の世論調査でも「賛成」は沖縄で53%、全国で47%だった。同じ傾向が続いている。

 普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設について賛否を尋ねると、沖縄で「反対」が66%だった。

 米軍基地の将来のあり方では、沖縄では「いまのままでよい」が12%、「縮小する」が49%、「全面的に撤去する」が37%だった。

 「全面撤去」と答えたのは50代以上では50%前後いるが、40代以下では20%台にとどまった。復帰前後での世代間の差が見られる。

 「日本に復帰してよかったか」を沖縄で尋ねると、83%が「よかった」と答えた。しかし、「いまの沖縄は復帰当時に県民が思っていたような姿になっているか」と重ねて聞くと、「あまりなっていない」「まったくなっていない」が計39%に上った。特に成人前後に復帰を迎えた50、60代では、50%が「なっていない」と答えた。復帰して「よかった」人たちの中でも34%は、当時思っていた姿に「なっていない」と答えた。復帰後の歩みへの複雑な思いがうかがえる。

 調査は4月21、22日に実施した。

■本土の無関心、根底に

 《解説》沖縄では2010年ごろから、米軍基地の押しつけを「差別」ととらえる見方が広まってきた。しかし、どれほど広がっているのか、統計的な裏づけはなかった。そこで今回初めて「差別」について尋ねた。

 21世紀の日本で、沖縄というひとつの地域に住む人々の2人に1人が差別を訴えている。しかも、それは本土による差別だという。この事実を、まずはきちんと受け止めなくてはならない。

 沖縄にいる体感からすれば、「本土による」とは、本土の一部政治家によるという意味ではない。本土メディアで働く私も、本土に暮らすあなたも含まれる。

 復帰40年。本土は米軍基地を沖縄へ押しつけたまま、結局のところ何もせずに傍観してきた。本土では基地移設先の候補に挙がれば、地元はすぐ「反対」を表明し、政府も案をあきらめる。沖縄ではなぜ、そうならないのか――。

 こうした問いの末に、沖縄では本土への不信が潮のように広がり、被差別感となって共感しあい、ある種の沖縄ナショナリズムが高まっている。

 「沖縄を差別しているつもりなどない」と、本土の多くの人は言うだろう。もっとあからさまに「被害者意識が強すぎる」とか「大げさだ」とか不快感を示す人もいるはずだ。昨年、沖縄へ2度目の赴任をする際、複数の知人から「沖縄は、基地負担を盾にとった要求団体化している」という趣旨の発言を聞かされ、驚いた。

 差別する側に立たされれば、負の感情から完全には自由になれない。「沖縄VS.本土」の二項対立が好ましいとも思わない。

 しかし、沖縄をそこまで追い込んでいる原因が、本土側にあることは間違いない。基地問題に対して「不平等」「不公平」にとどまらない「差別」という指摘の重み。「これは差別だ」という沖縄の声は、本土の「無関心」への反作用なのだ。(那覇総局長・谷津憲郎)

PR情報
検索フォーム


朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内事業・サービス紹介