倒壊した富新第二小の校舎の上に建てられた祭壇の前で5月27日、亡くなった児童の写真を手に悲しむ遺族=中国四川省綿竹、奥寺淳撮影
【成都(中国四川省)=峯村健司、小林哲】中国・四川大地震で学校が倒壊し多くの子どもが犠牲になった問題で、地元政府が遺族に慰謝料の支払い手続きを始めたことがわかった。遺族らが求めている、校舎の手抜き工事についての調査結果は先延ばしされており、当局は責任の所在をあいまいにしたまま幕引きを図る可能性が出てきた。
一方、中国教育省関係者によると、学校倒壊による死者数は確認されただけで生徒が約5千人、教師が約300人に上っている。いまだに行方がわからない生徒らがおり、1万人に達する可能性があるという。これらの調査結果は国家機密に指定されたといい、一切公表されていない。
126人の児童らが犠牲となった四川省綿竹市の富新第二小学校では15日、遺族が学校に集められた。複数の遺族や政府関係者によると、地元当局者が「慰謝料申請書」を配り、死者1人あたり6万元(約90万円)の金額を提示された。倒壊原因の調査について「まだ結果が出ておらず、引き続き調査を続ける」とだけ説明があった。
申請書には「賠償」という言葉は使われておらず、「行政の責任を認めたわけではない」(地元当局者)。当局者は「16日までに受け入れなければ一切の金を支払わない」と署名を迫っているという。
しかし、その場で署名した遺族は2割足らずで、大半は調査結果が出ないことを理由に拒否したという。息子を亡くした父親の一人は「金を求めているわけではなく、なぜ校舎が倒壊したのか、責任は誰にあるのか知りたいだけだ」と訴えた。遺族は、政府に対して原因究明を求める訴訟を起こす検討を始めた。
地元当局は専門家に依頼して倒壊原因の調査を進めているとしているが、約束した公表期限をこれまで数回延期しており、遺族らの間に不満が高まっている。
政府関係者によると、地域や学校によって慰謝料の金額が異なるという。これまでの調査では、倒壊した校舎は学校建設が急増した80年代末から90年代初めに建てられたものがほとんどで、ずさんな設計や手抜き工事が確認されたという。だが、関係者は「当時の厳しい財政状況などを考慮すれば責任の所在を明らかにするのは難しい」としている。