渡辺斉氏
国連が03年に出した報告書は最悪の場合、今世紀半ばまでに世界で70億人が水不足に陥ると指摘する。特に人口が多くて経済成長や都市化も著しいアジアの水問題は深刻だ。
メコンなどアジアの大河の多くはヒマラヤやチベット高原に源流があるが、温暖化で氷河が解け、大洪水とその後の大渇水を招きかねない。
水不足への対処方法の一つは、一人ひとりにとっての身近な水、たとえば雨水や下水処理水(中水)の利用をもっと促すことだ。
インドやスリランカはため池を作って雨水を上手に使っていた。英国の植民地統治や独立後の国際援助で、ダムという遠くの水に取って代わられたが、見直すことが必要だろう。ダムは森林を沈めるなど自然への影響が大きすぎる。
日本も大型事業に偏らず、水道の水漏れ防止技術などきめ細かい協力を一層進めることが望まれる。それは「節水思想」の普及にもなる。中国などの仮想水に頼っていることにも想像力を働かせてアジアの水問題に積極的にかかわるべきだろう。(名古屋学院大准教授)