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鉄道愛し、地域に尽くした 駒の湯温泉宿泊者

2008年6月15日23時2分

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写真駒の湯温泉で見つかった人は救助隊員に見守られ、軽トラックで運ばれた=15日午後2時56分、宮城県栗原市栗駒沼倉、吉本美奈子撮影

 駒の湯温泉に宿泊していて15日に死亡が確認されたのは、観光コンサルタント麦屋弥生さん(48)=東京都葛飾区=と、鉄道博物館学芸員岸由一郎さん(35)=同北区。いずれも栗原市で13日に開かれた「くりはら田園鉄道」(廃線)を保存活用する検討委員会に参加していた。2人は14日に近くの湿原を市職員と一緒に調査するという話になり、13日は駒の湯温泉に宿泊していたという。

 麦屋さんは日本交通公社をへて、地域づくりのプランナーとして活躍。草津温泉など観光地の再生に携わり、国土交通省の地域振興アドバイザーもしていた。栗原市との縁では、06年10月から観光アドバイザーを務め、月に1回ほどは同市を訪れていた。

 茨城県那珂市で特産品づくりをしている木内酒造の木内敏之さん(44)は20年近く、麦屋さんと家族ぐるみでつきあってきた。「まちの活性化のため、昔ながらの伝統や個性を探し出すことに取り組んでいた。若者らと朝までお酒を飲みながら語り合い、だれからも親しまれていた」と話す。「温泉が好きで、秘湯巡りをライフワークにしていた。それが災いとなるとは……」と声を詰まらせた。

 さいたま市の鉄道博物館に勤める岸さんは、13日午前に新幹線で栗原市に向かった。当初は日帰りの計画だったが、翌日の湿原調査に同行するために予定を変更したとみられる。

 岸さんは東京学芸大学を卒業。07年10月に開館した鉄道博物館では開設準備から携わった。昨年は鉄道を扱ったバラエティー番組に解説役として出演。全国各地に出向いて車両清掃のボランティアなどもしていた。

 「全国トロッコ列車」を岸さんと共同執筆した鉄道愛好家の笹田昌宏さん(36)=米国在住=は「小さいころから鉄道好きで学芸員にまでなった、我々愛好家の師匠みたいな人」と語る。役割を終えた地方の鉄道の車両や資料を後世に残そうと力を注いでいたという。「彼のために救われた車両も多い。やりたいこともまだまだ残っていただろうに」と声を詰まらせた。

 駒の湯温泉を、夫の菅原孝さんとともに経営するチカ子さん(80)も遺体で見つかった。知人の女性(68)によると、チカ子さんは口数が少なく黙々と働くタイプ。最近少し体が弱くなっていた様子で、孝さんに支えられ、近所で仲良く買い物をしていた。友人らと石垣島に旅行に行ったときも、2人はずっと一緒で楽しそうだったという。

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