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イワナは牛は子犬は…「早く帰らないと死んでしまう」

2008年6月17日15時10分

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 岩手・宮城内陸地震による橋の崩落や土砂崩れで通行不能となり、避難所に逃れた岩手県一関市厳美町の住民ら約40人。国道は「年内の復旧は無理」(県幹部)な状態だ。一時帰宅のめども立たず、残してきた家畜や養殖魚、田畑への思いを募らせている。04年の新潟県中越地震で同様の経験をした旧山古志村の長島忠美・元村長(現衆院議員)は「行政はあらゆる手段で支援を」とアドバイスする。

 同市厳美町市野々原地区の農業佐藤征子さん(68)は、自宅に残してきた牛の親子が気がかりで仕方ない。子牛はまだ生後5カ月。14日に避難勧告が出て自宅を離れるまでのわずかな間、2頭に飼料を食べさせ、水を与えた。土砂崩れで自宅に引く山水は止まった。池から泥水をすくい、草と一緒に置いてきた。

 地震におびえ、鳴き続けていた子犬のジローのことも頭から離れない。「他には何も望まない。早く帰らないと、生き物が死んでしまう」

 同じ地区で佐藤陸三郎さん(77)が心配するのは、自宅のため池に残してきた2万匹のイワナだ。30年以上前、近くの沢で釣った魚で養殖を始め、餌を試行錯誤しながら増やしてきた。

 地震以来、七つある深さ45センチのため池は白く濁り、魚は酸欠で水面で口をぱくぱくさせるようになった。近くの沢から取っている水が出なくなるのが心配で、地震当夜も明け方まで水路の土砂や木くずを取り除いた。が、先に避難した息子夫婦に電話で説得され、妻と避難した。

 「道路が壊れて帰れない。4、5日も放っておいたらもうだめではないか。1日でもいいから戻って様子をみたい」

 中越地震に襲われた旧山古志村も、牛やコイの産地。長島元村長は「住民にとって田んぼは財産、家畜は家族。これを失うと一気に意欲をなくし、コミュニティーそのものが失われかねない。行政はルールを拡大運用してでも対応すべきだ」と話した。

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