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夢は続く 「また見たい投球」来年も(野茂英雄の世界:4 語る)(1995年11月9日)

1995年11月9日

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 ■大リーグは昨年八月からのストライキで、ファンにそっぽを向かれたと言われています。球団や選手は、どう思っているのですか。

 春のキャンプで驚いたことがありました。選手全員が集まって野球の人気を回復するのはどうすればいいのか話し合ったんです。しかも球団社長やフロントの人も交じって一緒になって考えている。

 日本は違いますね。社長や営業担当がファンサービスですることを一方的に決めて、ぼくたちは指示されるままに動くだけ。大リーグでは何か問題があればお互いに話し合い、納得した形で取り組む。選手はやりやすいですね。

 ■ストは八カ月も続き、昨年は史上初めてワールドシリーズ中止という事態になった。労使間の緊張関係は日本よりはるかに厳しいですね。

 大リーグの選手は、経営者の論理が許せないと思ったら、ストまでして自分たちの権利を勝ち取ろうとする。選手会の強さ、団結力を感じる。日本のプロ野球選手は協約に縛られて経営者より不利な点が多いです。でも、選手会はそれを不満と思っていないのか、ストまでして闘おうとはしません。日本ではアメリカ型はできないでしょう。

     *     *

 ■野茂さん自身も昨年末の近鉄との契約交渉でもめました。あなたが複数年契約や代理人による交渉を訴え、これを球団側が拒否。結局、もの別れに終わったことが、大リーグ挑戦のきっかけとなりました。

 複数年契約を言ったのは、将来も安心して野球がしたいと思ったから。選手はフリーエージェント(FA)の資格が取れるまで移籍の自由はありません。トレードの権利は球団が握っている。近鉄時代も、仲のよかったチームメートが、次々とほかの球団へ出されました。そんな現実を見て、自分自身も昨年右肩を痛めたこともあり、複数年のことを考えるようになった。

 代理人は、ぼく個人は必要と思っている。そもそも球団社長はオーナーの代理人みたいなものでしょう。それなら選手に代理人がいても、おかしくない。契約のことを代理人に任せておけば、選手は野球に集中できます。

 ■大リーグ人気の回復に貢献したとか、日本の代表とか言われるのは、どう感じますか。

 ぼく自身はピンとこない。野球は自分のためにしているのだから。もちろんプロですから、球場に来たお客さんに「また野茂が投げる姿が見たい」と思ってもらえる投球をしたいとは思いますが。

 ■プロスポーツの世界は二年続けて好結果を残すことは難しいと言われます。来年へ向けて課題はありますか。

 シーズンを通して体調を崩さないように気をつけたい。常に最高のコンディションでグラウンドに出てくることが、プロ野球選手には大切なことですから。

 ■新しい球種を覚えるとか。

 それは全然考えていない。それより直球とフォークボールに一層の磨きをかけたい、と思っています。

     *     *

 ○野茂投手が近鉄にいたときの監督で、現オリックス監督の仰木彬さん(六〇)の話

 日本の打者は野茂と対戦する時、フォークを振らないとか、セーフティーバントをするとか、野茂を困らせようとした。半面、大リーグの打者は、野茂を打ち砕こうと真っ向から勝負してくる。言わば力と力の勝負。そんな舞台が彼には合っていたのではないかな。黙々と自分のペースを貫くタイプ。ぼくは来年以降の活躍も確信しているよ。

  

 ■メジャーリーガーになるという大きな夢を手にしました。これからの夢は何ですか。

 確かに夢はかなった。それは、すごくよかったです。ドジャースのラソーダ監督は、いい結果が出ると、ぼくを抱きかかえて喜んでくれる。初勝利のときも、地区優勝を決めたときもそうでした。自分がしたことを本当に認めてくれたような気がして、うれしいですよ。

 だから、また同じマウンドに立って、同じ球場で投げたいと思う。そして優勝して、みんなと喜びたい。同じ体験を続けていきたいです。それと……、やっぱりワールドシリーズで、投げてみたいですね。(おわり)

 (インタビュー・構成 運動部=金重秀幸)

  

 <日米交流> 野茂投手の成功で、大リーグは日本への関心を高めている。シーズン半ばから大リーグのスカウトが相次いで来日。練習中の巨人・桑田真澄投手にマーリンズのスカウトが話しかけ、禁じられている事前交渉では、と騒がれた。大リーグは三年後、二球団増えて三十球団になる。人材供給源として日本球界が欠かせなくなり、観客増の狙いもある。日本のアマチュア選手の中にも、マリナーズの鈴木誠投手(二〇)のように、日本のプロ野球に入らずマイナーリーグから大リーグを目指す選手が出てきており、今年は三人が米国の球団と契約した。

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