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光のナゾ今も追求 下村さん、ホタルイカ共同研究

2008年10月9日17時1分

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写真ホタルイカ

写真下村脩さん(右)と寺西克倫さん=06年10月、米マサチューセッツ州の下村さん宅、寺西さん提供

 光る生き物に魅せられて半世紀以上。ノーベル化学賞受賞が決定した下村脩さん(80)は、受賞研究について「やり残したことはない」と語る一方、今も日本の研究者とともに、光る生物のナゾを追い求めて研究に取り組んでいる。

 研究対象は、富山湾名物のホタルイカ。実は、下村さんが日本にいたころから注目していた光を放つ生物だ。生物有機化学を専攻する三重大教授の寺西克倫さん(46)は、このホタルイカを使って下村さんとともに、5年ほど前から共同研究を続けている。

 発光する生物は数多くいるが、下村さんによると、しくみがよくわかっているのは8種類くらい。ホタルイカの発光には、非常に不安定な物質が関係しており、分子レベルのしくみはまだ明らかになっていないという。

 ホタルイカは、下村さんが緑色蛍光たんぱく質(GFP)を分離したオワンクラゲと、発光にかかわる化合物の一部がよく似ている。このため寺西さんも興味をひかれ、一緒に研究を始めた。

 毎年4月に、とれたばかりのホタルイカを1千匹ほど手に入れ、実験に使う。料亭に納めるため、特別にいけすで生かしておいた、生きのいいホタルイカだ。

 「ようやく研究するたんぱく質を安定化させるのに成功し、その成果を今年はじめに2人で論文として発表した。まだ研究の下準備を進めている段階だが、発光機構の解明を目指したい」と、寺西さんは意欲を燃やす。

 10年ほど前、まだ米ウッズホール海洋生物学研究所にいた下村さんのもとへ留学した経験があり、それ以来の間柄だ。電子メールを交わして議論することが多いが、「厳しい言葉が返ってくるのが怖くて、メールを打つのをためらうこともある」と寺西さん。

 下村さんは「今、日本で共同研究をしているのは寺西さんだけ。自分はアドバイスをあげるのが大事だと思っている」と厳しさの裏を語る。

 寺西さんは「可能性は高まっていると思い、ここ数年は心待ちにしていた。とにかくうれしいですね」と話した。(米山正寛)

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