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超伝導理論に疑念、契機 南部陽一郎さんインタビュー

2008年10月10日12時24分

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写真CP対称性の破れの発見で80年のノーベル物理学賞を受賞したシカゴ大の元同僚ジェームズ・クローニン博士と握手する南部陽一郎氏(左)=7日午前、米イリノイ州のシカゴ大、勝田敏彦撮影

 ノーベル物理学賞受賞が決まった南部陽一郎シカゴ大名誉教授(87)に、これまでの研究人生について聞いた。(シカゴ=勝田敏彦)

 私が学生のころ、湯川秀樹博士が予言したパイ中間子が実際に発見され、博士の名は世界的に有名になった。私も物理学をやっていこうと思った。

 渡米は1952年のことで、当時プリンストン高等研究所の所長だったロバート・オッペンハイマー博士の招きだった。

 2年間だけで帰るつもりだったが、プリンストンでの研究があまりうまく行かなかったこともあり「もう少し」と思っていたら、たまたま「シカゴ大に来ないか」との誘いがあったのでそれに飛びついた。結局、ずっと居続けることになった。

 ノーベル賞の授賞理由になった「自発的対称性の破れ」のアイデアを思いつくきっかけは、低温で電気抵抗がゼロになる現象である超伝導を見事に説明する「BCS理論」と呼ばれる理論だった。

 その理論を考えたイリノイ大の3人の研究者の一人、シュリーファー博士が、論文の発表前にシカゴ大でセミナーを開いてくれたのだが、それを聞いていた私は「これは理論的におかしなところがあるな」と思った。

 自然界には、どっちの方向を向いていても物理法則の形は変わらないとか、同様に時間が経過してもやはり法則は変わらないといった、「対称性」と呼ばれる重要な性質がある。

 しかし現実には、その性質が「破れて」いるように見えるときがあり、その結果、ある種の粒子や波が生まれ、BCS理論の問題点が補正されることがわかった。これが「自発的対称性の破れ」と呼ばれる現象で、発見まで2年かかった。

 次にこの考えを素粒子物理学に応用しようと考え、元々は質量を持たない素粒子が質量を持つ理由も、BCS理論と同じ考え方で説明できることを見つけた。

 私の発表に対する当時の物理学界の反応は悪かった。だが今や「自発的対称性の破れ」は物理学のいろいろなところに顔を出す重要な考え方になっている。

 今年、ジュネーブの欧州合同原子核研究機関(CERN)で大型加速器LHCが動きだし、質量の起源を探ろうとしているが、その年に私がノーベル賞を受賞することになったのも、何か関係があるのかもしれない。

     ◇

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