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無料低額宿泊所巡る脱税、経営者が起訴内容認める

2010年4月22日11時46分

 生活保護の受給者を入所させ、生活保護費から費用を集める「無料低額宿泊所」を運営する業界大手「FIS」の経営陣3人による脱税事件で、所得税法違反の罪に問われた経営トップの藤野富美男被告(46)=東京都文京区=の初公判が22日、名古屋地裁で開かれた。藤野被告は起訴内容を「すべて事実です」と認めた。

 藤野被告は2007年までの3年間で計3億1400万円の所得を隠し、計1億1千万円を脱税したとして起訴された。藤野被告は宿泊所の運営で得た利益のうち、それぞれ1億円前後を元幹部2人に分配。この2人も同罪で起訴され、すでに有罪判決を受けている(1人は確定)。3人合わせて3年間に計5億円を超える所得を隠し、計1億7千万円を脱税したとされるが、藤野被告の弁護側は「共同経営の会社へ渡した分は損金として扱われるはずで、脱税分に含めるべきではない」として一部について争う姿勢を示した。

 検察側は冒頭陳述で、藤野被告が生活保護費に着目し、無料低額宿泊所を「ビジネス」として軌道に乗せた経緯を説明した。入所者1人あたり毎月12万円前後の生活保護費から寮費・食費などの名目で約9万円を支払わせ、それらを他人名義の口座に入金させて自分の所得を仮装。新しい施設の開設費用に充てて、02〜07年に関東地方や愛知県などに22の施設をつくり、売り上げを急増させた。

 さらに、愛人女性に名古屋市内の高級住宅地に邸宅を買い与えたり、ブランド品の購入に充てたりした。検察側は藤野被告が取り調べ段階で「子どものころから値札を見ない生活にあこがれ、その気持ちが消えなかった」と供述したと説明した。

 元幹部2人には当初、利益を分配していなかった。検察側は、藤野被告が、分配する際には「銀行に入れるなよ。国税にばれたらやばいんだから」と脱税を指示し、現金を与えたり、生命保険や住宅ローンを肩代わりするなどしたりした、と説明。藤野被告が脱税事件を首謀したことを印象づけた。(志村英司)

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