現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 特集
  4. 働けど貧困
  5. 記事

貧乏神、神社で追い出せ…拝まずにたたいてキック 徳島

2008年11月15日16時42分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

写真貧乏神の追い出し方を実演する石橋吉治さん=徳島県神山町の幸福神社、三浦写す

 不景気で会社が立ちゆかない、上司にいじめられてつらい、老後が心配……。そんな現代社会のストレスを貧乏神に見立て、神木をたたいて追い出そうという「幸福神社」が徳島県神山町にある。宗教法人ではなく、ただの憂さ晴らしにも見えるが、病気、破産、離婚など深刻な悩みを打ち明ける人もいて、週末には各地から約20人が訪れる。

 神社は06年11月、四国山地の山あいに建てられた。幸運をつかむ参拝法は、まず「貧乏神、出て行け」と叫びながら棒やバットで神木を3回たたく。次にキックを3回。最後は「二度と来るな」と大豆を投げつける。決して拝んではいけない。

 宮司役を務めるのは行政書士の石橋吉治さん(69)。仕事柄、相続や土地取引に絡んで人生相談を受けることが多い。「悩みをため込むのではなく、吐き出せば前向きになれる」と、大声で叫べる山小屋をつくろうと考えた。そんな時、長野県飯田市に「貧乏神神社」ができ、神木をたたいて厄払いしていることを知り、「これだ」と思い立った。

 知人の土地を借り、本殿、木彫りの貧乏神、鳥居などすべて手作りで仕上げた。普段は徳島市に住み、週末に神社へ出向く。宗教行為はしておらず、無料で参拝できる。

 「一生懸命育てた野菜なのに市場では二束三文。段ボール代にもならん」。農家の人は、こんなぼやきを石橋さんに漏らす。「毎日、上司にいじめられるんです。この野郎!」と神木をたたくサラリーマン。不況のなか、「会社をたたむ踏ん切りがつかない」「パートや派遣じゃなく安定した正社員になりたい」といった切実な声も聞かれる。

 子どもに関する悩みも多く、「結婚してくれない」と訴えるお年寄りが目立つ。石橋さんは「誰が自分を介護してくれるのか不安なのでしょうね」とみる。一方、「美人すぎて男性がアプローチしてこない」「資産家で借金の依頼を断れない」というぜいたくなストレスも。

 「自分の存在価値を自分で認めるプラス思考が大事。幸福神社は、信仰ではなく心の自立をお手伝いするところです」。石橋さんはそう話す。(三浦宏)

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内