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「派遣切るな」2千人 怒りと不安、東京・日比谷

2008年12月4日23時6分

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写真「派遣社員はモノじゃない」。契約を打ち切られた非正社員らが集会で抗議の声を上げた=4日夜、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂、遠藤真梨撮影

 世界不況のあおりを受けて、非正社員らを減らす勢いが加速している。相次ぐ「派遣切り」に、不安を抱える労働者からは、対策を求める大合唱が起きている。

 4日夜、東京・日比谷野外音楽堂は、2千人の非正社員や労働組合の関係者らで埋まった。怒りと不安が満ちていた。

 「僕たちにも2009年を迎えさせて下さい」「寮から追い出さないで下さい」「どうかホームレスにしないで」

 壇上にのぼった派遣社員の叫びが、会場に響き渡る。「厳冬のなか、数十万人が放り出されようとしている」。日本労働弁護団の棗(なつめ)一郎弁護士も訴えた。

 発言者のうち1人は50代。神奈川県内の自動車関連工場で働いていた。「暇になってきたのでダメですね」。10月31日、派遣会社の営業担当者から突然、契約打ち切りを宣告された。会社が借り上げているアパートは今月16日までに出なければならない。「年末年始をしのぐため必死で仕事を探しているが、見つからない。こんな切り方をされるとは思ってもみなかった」

 自動車、電機、工作機械……。製造業を中心に非正社員の大規模な削減が相次ぐ。その数は厚生労働省が把握しているだけでも来年3月までに約3万人。日ごとに増える。

 減産を理由に期間従業員や派遣社員ら440人が契約打ち切りを通告されたいすゞ自動車栃木工場(栃木県大平町)では、期間従業員の松本浩利さん(46)らが労組を結成。4日午前、同僚らと解雇の撤回などを同社に求め、仮処分を申し立てた。松本さんらは10月に来年4月までの契約更新をしてから1カ月後、11月末での契約打ち切りを告げられた。「期間従業員というだけでの解雇は、納得がいかない」。泣き寝入りする非正社員が多い中、法的手段に訴えるのは異例だ。同社は「世界不況の大波が、想像を超えていた」(広報部)。

■幅きかす「経営の論理」

 「雇用に深刻な影響が出ている。悪化のスピードが速く、早いうちに手をうたねば深みにはまる」

 4日午後、首相官邸であった「政労会見」。連合の高木剛会長は、麻生首相にこう切り出し、雇用対策本部を設けて、解雇・雇い止めで仕事や住む場所を失う労働者を支援するよう要請した。

 麻生首相も「今回は世界規模的な危機であり、普段とは違う。生活者の不安も高まっており、知恵を絞りたい」と応じた。新卒者の内定取り消しを自ら取り上げ、「ふざけている。経営者には雇用の確保につとめてもらいたいと先日も経団連に伝えた」。雇用対策に前向きな言葉を連発した。

 だが、麻生首相が1日、経団連会長の御手洗冨士夫キヤノン会長を官邸に呼び、非正規雇用の維持を求めたわずか数日後、キヤノンのカメラ生産子会社、大分キヤノン(大分県国東市)が同社で働く請負会社の従業員を年内に約1100人削減する見通しが明らかになった。政治の要請も、景気低迷から身を守る経営の論理にのみ込まれた格好だ。

 政府や与野党は雇用対策への取り組みを強めている。

 与党のプロジェクトチーム(PT)は3年間で100万人の雇用を支えるために、派遣社員を直接雇用した派遣先に最大100万円を助成するなどの対策を検討している。「支出は増えるが、ちゅうちょしている時ではない」(川崎二郎PT座長)

 民主党も2日、緊急雇用対策本部を設置し、敷金や礼金など住宅に入居するための費用や、就職活動中の生活費の支援などの対策を検討中だ。

 ただ、いずれも年内に実現する見通しは立っていない。

 派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は危機感を募らせている。「急がないと、このままでは年末には路上に大量の失業者があふれかねない」

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