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反貧困でつながる(10)それぞれが一歩踏みだそう

2008年12月31日1時41分

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写真ヒンキーのバッジ

 企業の課長からネットカフェ難民に――。12月1日にあった反貧困ネット埼玉の結成式。背広姿の男性(52)が体験を語った。

 きっかけは教育ローン。息子2人の高校・大学の費用で約450万円かかった。上場企業の子会社の課長職で年収600万円。節約すれば返せる額だ。「金は残せないから、学歴だけでも残してやりたかった」

 だが96年、バブル崩壊で会社が別会社に吸収合併された。退職金はもらえず、新会社では給料は4割減に。転職もうまくいかず、妻とは離婚した。借金だけが残った。

 何かが、ぷつんと切れた。取り立てを逃れ、ネットカフェで夜を明かし、日雇い派遣で働いた。そんな生活を1年半。昨年の冬、ホームレス対象の健診で、肺炎の疑いを指摘された。不安になり、ホームレス支援をしているNPO法人「ほっとポット」に身を寄せた。

 現在、ほっとポットが運営する地域生活サポートホームで暮らす。生活保護を受け、資格試験の勉強中だ。ようやく人生をゆっくり考える余裕が出来たという。少し恥ずかしげな笑顔で言った。「あと20年くらいは自分のためにがんばろうかな」

 反貧困ネットは、東京に続き、愛知、宮城など7カ所で結成、広島など12カ所でも結成の準備が進む。当事者の居場所を作り、生の声を発信していく。代表の宇都宮健児弁護士は、「貧困の実像を伝え、この国のありようを問いたい」と話す。

 反貧困ネットにはシンボルがある。オバケの「ヒンキー」だ。皆が無関心だと増殖し、関心を持つと昇天する。貧困をなくすため、それぞれが一歩踏みだそう。そんな願いがこめられている。(諸麦美紀)=おわり

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