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失業者「駆け込み寺」 地域の支援の輪広がる

2009年2月6日22時13分

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写真14人が家事を分担しながら暮らしている=宮城県亘理町

 離職者らのために僧侶が用意した「駆け込み寺」に、路上生活をしていた人たちが集まっている。寺の集団生活を支えようと、近所の人が食材や不用品を持ってきてくれることも増え、支援の輪が地域に広がり始めた。

 宮城県南部の海沿いの町、亘理(わたり)町。町を西から東に流れる阿武隈川沿いの畑の中に「不忘山行持院」はある。行政書士で美容院などを経営し、僧侶でもある真壁太隆(たいりゅう)さん(59)が昨秋、「布施行」をと1500平方メートルの敷地に古い民家を改造して建てた。木造一部2階建ての約230平方メートルの母屋に現在14人が暮らす。

 はじめは外国人労働者らに利用してもらおうと考えていた。しかし、雇い止めになる非正規労働者が増える中、失業者の受け入れを始めた。うわさを聞いた4人が今年初めに入居。1月24日に仙台弁護士会が行った非正規労働者向けの「法律相談」に訪れた7人もやって来た。

 「維持費を抑えなければ継続できない」と、暖房は建設廃材を燃やせる薪ストーブにした。風呂も廃材を燃やす長州風呂。トイレットペーパーや洗剤、電気などの費用は真壁さんが負担する。

 奮闘ぶりを見て、知り合いがいろいろな物を持ち寄ってくれるようになった。50ほどある布団や数十人分ある食器はすべてもらい物。ストーブも地元の材木屋が使っていたものをくれた。野菜は地元の八百屋さんが賞味期限が過ぎそうなものを分けてくれる。お肉屋さんは時折、コロッケを持って訪ねてくれる。

 栄養剤10本やトイレットペーパーを持って訪れた自転車屋の男性(69)は週1、2回、土産を持って立ち寄る癖がついたという。「せっかくの取り組みなので応援したい」

 寺で暮らすのは、カメラの部品工場を解雇され、車中で暮らしていた男性(47)や、仙台市のサービス業者から解雇された男性(53)など最近まで仕事をしていた人ばかり。雑談になると「いつ働けるんだろう」と経済の行方などを話し合っているという。元サービス業の男性は「封筒を一枚折るのでもいい。仕事がしたい。社会とのつながりがほしい」と話す。

 求人情報誌を集めては仕事探しに目をこらしているが、年齢が比較的高いこともあり、はかばかしくない。

 そこで、真壁さんは近所の建設業者や農家に仕事がないか相談してみようとも考えている。近くの休耕地を借りて、畑仕事を始めてもいい。「彼らを見ていると、明日は我が身かもしれないと思う。みんなが自分のできる範囲で、いろんな角度から自立を支援していけたら」と話す。あと30人程度利用可能だという。連絡先は真壁さん(090・2796・9440)。(守真弓)

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