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アナタだけの生活再建、考えます 失業支援でモデル事業

2010年10月6日17時17分

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 政府が検討してきた失業者の生活再建をマンツーマンで支援するパーソナル・サポート・サービスが、今秋から動き出す。横浜市や京都府など五つの自治体がNPOなどに委託してモデル事業を始める。就労支援と福祉政策とを組み合わせた「寄り添い型」支援といわれる初めての取り組みだ。

 5日、モデル事業の説明会が内閣府で開かれた。来年度からのパーソナル・サポート・サービス実施を検討している県やNPOなど約70団体の職員らが参加した。政府は5自治体に加えて、来年度からは20団体にする計画。都道府県に設置した緊急雇用創出事業基金を活用する。2012年度から制度化し、全都道府県での実施を目指す。

 サービスの対象は、失業中で、借金や病気、家族関係の問題など複数の理由で自立した生活を送れない人。自力では、必要な行政の支援策を利用することが難しいケースを想定している。こうした人は、頼れる家族や友人がおらず、孤立しているケースが多い。

 実際には、都道府県や市町村がNPOや社会福祉法人などに委託する。県などが設置する「求職者総合支援センター」を拠点として、パーソナル・サポーター(PS)と呼ばれる専門員が活動する。

 PSは困窮した人から相談を受けると、一人一人に応じた支援策を考える。そしてハローワークや福祉事務所、NPOなどと連携。支援制度の申請窓口に同行したり、アパート探しを手伝ったりする。病院への付き添いや、弁護士の協力を得て多重債務問題に取り組む。職業訓練などをへて最終的には相談者が安定的に働き続けられるようにする。

 PSを提案した元派遣村村長の湯浅誠内閣府参与は、「地域や家族、企業という共同体の力が弱まる中で、こぼれ落ちていく人が増えている。そこをPSが支えていきたい」と狙いを説明する。

 PSの基本的な役割は決まっているが、独自性も発揮できる。福岡市のPSは8人。1年半で路上で生活していた人ら約80人を支援する計画。横浜市では、虐待や貧困、引きこもりなどの問題を抱える若者が対象だ。

 政府が手本にしたのは英国のパーソナル・アドバイザー。英国内に700カ所以上ある「ジョブセンタープラス」に1万3500人が公務員として常勤するほか、民間の就職支援企業にもいる。

 日本では08年秋のリーマン・ショック後、住宅手当や職業訓練中の生活費給付など求職者への支援策をいくつも打ち出したが、制度の窓口が異なり、たらい回しになる人が多かった。昨年末に実施した、ハローワークに各窓口の職員を集める「ワンストップ・サービス」もうまく機能しなかったという反省がある。

 PSを全国展開するには、質の高い人材をどれだけ確保できるかがカギになる。PSには制度や支援団体についての知識のほか、相談技術や、各機関とのネットワークを築く力が必要だからだ。(高橋末菜)

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