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金融危機、「世界の工場」にも影 突然解雇7千人怒る

2008年10月21日1時44分

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写真欧米の有名おもちゃブランド向けに玩具を生産していた工場が突然閉鎖となり、失業した数千人の従業員が工場の門に詰めかけた=16日、中国広東省東莞、奥寺写す

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 おもちゃや靴、パソコン周辺機器などの工場が集積する中国広東省東莞市。「世界の工場」の中核を米国発の金融危機が襲う。市の東部にある政府前に17日午前、おもちゃ工場の従業員約500人が集結していた。2日前に工場が突然閉鎖になり、失業した人たちだ。目の前には、ヘルメットと盾、警棒で武装した約300人の治安部隊が壁をつくって立ちはだかる。

 「2カ月半分の給料がまだ支払われていない。突然職を失い、年金、失業保険など、政府はどう解決するのか」。従業員の代表者が叫ぶ。共感に満ちた怒声が上がった。「家賃も生活資金もない。これからどうやって暮らしていけばいいんだ」。ベトナム国境に近い雲南省の村から出稼ぎに来た工員の夫婦は、記者にも早口でまくしたてた。2人で4千元(約6万円)を超えた月収を一気に失った。

 中国最大級のおもちゃ工場を抱える「合俊」(本社・香港)。香港株式市場に上場し、米大手玩具メーカー「マテル」など世界の有名ブランドに、OEM(相手先ブランドによる生産)で供給する。米国経済の減速で注文が急減し、資金繰りがつかなくなった。二つの工場を閉鎖、約7千人の従業員が路頭に迷う。内陸部からの出稼ぎが多く、老後も教育も工場の給料頼み。騒動は3日間にわたり、一時は2千〜3千人の「失業者」が、工場前の門から大通りまでを埋め尽くした。

 合俊に代わって従業員と協議をしていた地元政府は、未払い給与の7割を立て替えて支払うと回答したが、従業員側は「100%支払え」と主張。押し問答の末、「確実に全額を支払う」という通告を門に張り出した。立て替え金の総額は約2400万元(約3億8千万円)にのぼるという。

 その後も政府前に集まった従業員を、政府側の担当者が拡声機で諭した。「8月分の給与はすでに銀行に振り込んだ。9、10月分も翌週までに計算して支払うので、混乱を起こさず、速やかにこの場から立ち去るように」。工場の倒産や夜逃げが相次ぐなかで、社会の安定を保つため、事態の収拾を優先させた。

 中国全体の今年1〜7月のおもちゃ輸出は、前年同期と比べてわずか2.1%増にとどまる。25%近い伸びを示した昨年から暗転した。高成長が覆い隠してきた社会の矛盾が顔を出し始めた。「米国が風邪を引けば、中国もくしゃみしてしまう。世界的に経済がおかしくなっていることの表れだ」。従業員のデモや記者の取材の様子をビデオ撮影していたベテラン警官は、ため息をついた。(東莞〈中国広東省〉=奥寺淳)

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