政府は、世界的な株価急落を受けて、市場安定化に向けた追加的な対応策の検討に入った。金融機関に注入できる公的資金枠の増額や、証券優遇税制の延長などを盛り込む。政府・日本銀行による銀行保有株の買い取り再開についても検討中。週明けにも公表する方針だ。
公的資金については、今国会での成立を目指している新・金融機能強化法による注入に備えた予算枠を大幅に増やす。この法律は、予防的に公的資金を注入して中小企業への貸し渋りを防ぐのが目的。
当初は、現行の予算枠と同額の2兆円でスタートする方針だったが、金融危機が一段と悪化。今のような株安が決算期末まで続けば、金融機関の自己資本が大きく減るため、資本増強のための「万が一の原資」を積み増すことにした。
株価対策としては、株式や投資信託の売却益や配当の税率が10%になる証券優遇税制の仕組みを、来年1月以降もそのまま延長する。昨年の税制改正では、優遇税制は09年1月から、原則20%(一部の特例措置はのぞく)に戻すことが決まっていた。
しかし、株価が急落する中での優遇廃止は、マイナス効果が大きいと判断。別の制度をつくるにはシステム対応にも時間がかかるため、単純に延長する方向になった。
検討対象には、政府や日本銀行による銀行の保有株式の買い取り再開も挙がっている。銀行の財務が株価下落で傷むのを防ぐための措置で、02年からの株価下落局面で実施され、計3兆6千億円分を買い取った。政府と日銀はすでに保有株の市場での売却の凍結を打ち出しており、買い取り再開は、さらに一歩踏み込んだ対策になる。
ただ、金融庁などには「買い取り再開には法改正が必要で、緊急策としては効果が薄い」「今回の株価下落の原因は、02年当時のように銀行が保有株を売却しているからではない」といった慎重意見も多く、調整が続いている。
このほか、株式の空売り規制をさらに強めることや、証券化商品についての時価会計の緩和、自己資本比率規制の見直しなども検討項目に挙がっている。
政府は今月14日、金融危機や株価下落への当面の対策を発表。政府・日銀の保有株売却凍結のほか、自社株買いの規制緩和や空売り規制の強化、地域金融機関への公的資金注入の復活、生命保険の契約者保護強化策の維持などをパッケージで打ち出した。
中川財務・金融相は当時から「さらに状況変化があれば、適時適切に対応できるようあらゆる対応策を検討していく」と述べており、株価下落がその後も続いたため、追加策を打ち出すことにした。(日浦統)