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米投資詐欺、止まらぬ被害拡大 SECへの批判強まる

2008年12月28日0時13分

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写真ニューヨークで17日、報道陣に囲まれながら自宅に向かう米株式市場ナスダックの元会長バーナード・マードフ氏=ロイター

 【ニューヨーク=丸石伸一】米株式市場ナスダックの元会長バーナード・マードフ容疑者の詐欺事件の被害拡大が止まらない。金融危機をきっかけに露呈した「米史上最大」の詐欺事件で、事態を結果的に見過ごしてきた米証券取引委員会(SEC)への批判が強まり、金融監督の強化を求める声も出ている。

 投資資金の運用で損失を被ったとして米ニューヨーク大学が米ヘッジファンド幹部を提訴した、と米欧メディアは24日報じた。ヘッジファンド幹部がマードフ氏に資金を委託したことで、ニューヨーク大は約2400万ドル(約21億円)の損失を被ったという。

 被害は日米欧の金融機関にとどまらず、米慈善団体や個人投資家にも拡大。被害総額は500億ドル(約4兆5500億円)を超すとされ、米国では過去最大の詐欺事件といわれる。23日には、被害を受けたとされる投資ファンドの運営者が死亡しているのが見つかった。事件との関係は不明だが、自殺とみられる。

 11日にマードフ氏を逮捕した米捜査当局は、事件の全容解明を急いでいる。SECの調査などによると、米ナスダック市場運営会社の元会長であるマードフ氏が自ら運営する投資ファンドは、10%を上回る高利回りをうたって投資家から資金を集めた。だが、資金は実際には市場などで運用せずに投資家への配当に回すだけの、いわゆる「ネズミ講」のような状態で、巨額損失の発覚を隠していた疑い。

 うそが発覚したのは、複数の投資家から計約70億ドル(約6300億円)の払い戻しを求められたからだった。マードフ氏は投資家に償還する資金の確保に困り、不正を取り繕うことができなくなった。

 だが、SECは16日、SEC職員が少なくとも99年からマードフ氏の不正行為に関する情報を得ていたが、報告がなかったことを明らかにした。このため米欧メディアは「SECの怠慢が不正を助長した」などと指摘している。

 さらに事件をきっかけに、資金運用の詳細に関する情報開示が義務づけられていないヘッジファンドに対する規制を見直す動きが加速する可能性もある。米国では過剰な規制強化への反対論も根強いが、サブプライム危機が深刻化した昨夏以降、既に規制強化の動きが強まっている。

 マードフ氏の詐欺があぶり出されたのは、投資ファンドが世界の株式相場などを押し上げる構図が急激に「逆回転」を始めたためだ。金融危機をきっかけに投資家は市場での資金調達ができないうえに、貸し渋りにもあい、手元資金を確保するため、ファンドなどに預けた投資資金の回収を急いでいる。今回の事件は、金融危機の元凶ともいえる「カネ余り」の問題を問い直す契機にもなりそうだ。

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