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力士暴行死、前時津風親方に実刑 地裁「けいこ逸脱」

2009年5月29日14時22分

写真前時津風親方・山本順一被告

イラスト判決をきく山本順一被告(右)=名古屋地裁、絵と構成・市川章三

 大相撲・時津風部屋の序ノ口力士斉藤俊(たかし)さん(当時17)=しこ名・時太山(ときたいざん)=の暴行死事件で、傷害致死罪に問われた前親方(元小結双津竜)山本順一被告(59)に対し、名古屋地裁(芦沢政治裁判長)は29日、懲役6年(求刑懲役7年)の実刑判決を言い渡した。前親方側は同日、名古屋高裁に控訴し、いったん収監された後、保釈された。

 斉藤さんに対する「ぶつかりげいこ」が、通常のけいこか単なる暴行かが争われた裁判で、判決は「けいこを逸脱した違法な暴行」と認定。兄弟子への暴行の指示も認めた。芦沢裁判長は「犯行をまさに主導し、弟子らに絶大な支配力を持つ立場で指示した影響力は極めて大きい。部屋で預かる力士の保護者的立場にありながら、率先して暴行を加えたのは言語道断で、刑事責任は極めて重い」と量刑理由を述べた。

 争点は(1)「ぶつかりげいこ」の違法性(2)兄弟子に対する暴行の指示の有無(3)起訴された一連の暴行と斉藤さんの死との因果関係――で、前親方側はいずれも否定し、起訴事実を否認していた。

 判決は、2日間に及んだとされる暴行のうち1日目夜の暴行について、兄弟子の目の前で、前親方がビール瓶で殴った後に「おまえらも教えてやれ」「鉄砲柱に縛っておけ」と発言した状況などから、暴行の指示があったと判断。「兄弟子らは、文言以外の暴行を加える指示もした趣旨と受け止め、従ったと認められる」として、「殴るけるなどの明確な指示はなく、兄弟子らが勝手にやった」との弁護側の主張を退けた。

 また、2日目朝の「ぶつかりげいこ」については、被害者が逃げ出したことなどに前親方は腹を立てていたとして、「制裁の目的が含まれていたと推認できる」と指摘。入門間もない斉藤さんに対して、激しいけいこを異例の長時間続けさせ、金属バットや木の棒で殴るなどしていることから、「正常なけいこの範囲を明らかに逸脱したもの」として違法な暴行と認定した。

 弁護側の「技能向上が目的の通常のけいこで、けいこを受けることに斉藤さんも同意していた」との主張に対しては、「前親方に逆らうことは事実上困難で、やむなく従ったものだ」と退けた。

 前親方との共犯で傷害致死罪に問われた兄弟子3人について、名古屋地裁は昨年12月、2人に懲役3年執行猶予5年(求刑懲役3年6カ月)、1人に懲役2年6カ月執行猶予5年(求刑懲役3年)の判決を言い渡し、確定した。

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