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NHK記者が捜索情報漏らす 捜査対象の時津風親方に

2010年10月9日5時1分

 NHKは8日、報道局スポーツ部の30代の男性記者が、大相撲の野球賭博問題で警視庁が家宅捜索に乗り出すとの情報を7月の捜索当日未明、日本相撲協会の関係者にメールで送っていた、と発表した。捜査関係者によると、メールの相手は時津風親方(36)=元幕内時津海=で、賭博に関与したとして捜査対象となり、当日も部屋が捜索を受けた。警視庁は記者から任意で事情聴取。記者の行為が証拠隠滅の幇助(ほうじょ)や犯人隠避、偽計業務妨害などに当たらないか捜査を進めている。

 捜査情報を当事者に事前に伝える不祥事で、NHKは冷水仁彦(しみず・よしひこ)報道局長が「あってはならないことで極めて遺憾」と謝罪した。

 時津風親方は警視庁の事情聴取に「メールの情報をもとに何かしたということはない」と話しているという。

 NHKによると、記者は7月6日に東京・国技館で取材中、他社の記者から「明日相撲協会に対して警察の捜索が行われるようだ」という話を聞いた。記者は電話をかけたが、つながらなかったため、7日午前0時ごろ、「明日、賭博関連で数カ所に警察の捜索が入るようです。既に知っていたらすいません。ガセ情報だったらすいません。他言無用でお願いします。NHKから聞いたことがばれたら大変なことになりますから」とのメールを携帯電話で送った。返信はなかったという。

 警視庁組織犯罪対策3課は7日朝、賭博にかかわったことを自己申告した力士らが所属する相撲部屋などを賭博開帳図利容疑で一斉に家宅捜索し、力士らの携帯電話などを押収した。

 捜査関係者によると、携帯電話のメールの解析を進める中で今回の記者のメールの存在を把握した。同課はまず、時津風親方から事情聴取。NHK側から経緯の説明を受けた上で、今月8日に記者から初めて事情を聴いたという。

 一方、NHKは「今月6日に情報漏れのうわさを把握し、記者に問いただしたところ、メールを送ったことを認めた」と説明している。報道局とコンプライアンス(法令順守)の担当部署で調べたところ、問題のメールも記者の携帯電話に残っていた。7日にはNHKの担当者が、8日には本人が警視庁に出向いて経緯を説明したとしている。

 NHKによると、記者は昨夏まで約2年間、大相撲の取材を担当。その後は特定の担当分野を持たない遊軍だったが、今年5月下旬から相撲協会の不祥事の取材に加わっていた。

 記者はメールを送った理由について「賭博問題が大きくなって取材が出来なくなっており、なんとか連絡をとりたいという意識だった」と説明。さらに「NHKが取材した情報ではなく、他社から聞いた不確かな情報だから伝えても構わないと思った。関係づくりに生かそうと思った」と話しているという。

 NHK関係者によると、NHK内部では7月6日夜、「近く一斉捜索の公算が大きい」との情報があり、捜索に向けて100人規模の取材態勢の手配をしていたという。

 NHKは「事件取材の情報は厳密に取り扱っている。この記者と社会部の記者との接触はない」とし、こうした内部の情報が漏れたのではないと強調している。別のNHK関係者によると、記者は「スポーツ紙の記者から聞いた」と話しているという。

 野球賭博問題をめぐり、時津風親方は自ら賭博をしていたことを認め、相撲協会から1階級降格の処分を受けている。解雇された元大関琴光喜関から、恐喝事件について相談も受けていた。

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