プロ野球のキャンプ地で裁判員制度をPRするサイバンインコ=宮崎市で
市民の関心がなかなか高まらない裁判員制度について、各地の検察庁が慣れないPRを続けている。職員手作りの広報キャラクターはすでに50。汗だくで着ぐるみに入ったり、劇団を結成したり、検事正がマラソンで汗を流したり――。「敷居が高い」イメージの役所が、市民との距離を縮めようと知恵を絞る。
福岡高検は2月上旬、宮崎県で行われているプロ野球・巨人のキャンプに「サイバンインコ」の着ぐるみを派遣した。赤い法被をまとい、愛らしく羽を動かす姿に、子どもや若い女性が記念撮影した。まだ暑さの残る昨年9月の福岡市での市民マラソン大会を皮切りに、各種催しで職員が中に入ってきた。検察官は捜査や公判を抱えており、主力は事務官だ。
人気映画も利用する。水戸地検は昨年ヒットし、主演の木村拓哉さんが検事として活躍する映画「HERO」にあやかっている。
「殴ったことに間違いないですか」「どうして盗んだんですか」。職場体験で訪れた中学生は取調室で検事役になり、事務官が扮する容疑者を調べる体験ができる。小中学校に配布するチラシの写真は、映画の場面そっくり。将来の裁判員の卵たちに「ぜひ連絡を」と呼びかける。
飲酒運転で死亡事故を起こした会社員はどんな罪を負うか。札幌地検では、事務官たちが劇で裁判員制度をPR。延べ500人の観客を動員した。しかし、慣れない仕事に戸惑いも小さくない。ある主任捜査官(32)は「仕事柄、人前に出ていないし、あがり症。練習も嫌でした」。
特産品や観光地も積極的に利用する。
福井地検は「越前ガニ」をモデルに「やるカニ」くんをつくった。「日本海で育った越前ガニのように身を引き締め、法と証拠というハサミで悪を斬(き)っていこう」と寺脇一峰検事正。
仙台地検では検事正が「裁判員制度が始まります」と書かれたタスキをかけ、「日本三景」の一つの松島で21キロのハーフマラソンを走り切った。
PRに必死になる背景には、裁判員制度に意欲的な市民は2割という内閣府調査への危機感がある。検察庁を含む法務省の今年度の裁判員広報予算は3億2600万円。4月からの新年度はさらに3億8800万円にふくらむ。最高検は制度開始までの2年間で説明会を1万2000回開く。