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一審は裁判員…「市民の常識」覆せるか、悩む高裁裁判官

2008年4月8日7時59分

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 一審で裁判員が意見を出し合ってまとめた結論を、これまで通り裁判官だけで審理する高裁、最高裁が覆せるのはどんな場合か――。来春始まる裁判員制度で「手つかずの最大の課題」と言われているのが控訴審のあり方だ。高裁の裁判官も悩んでいる。

 「一審で決着する裁判はまれです。二審、三審は裁判官が独自に判断するのなら、一審判決は事件の決着に何の影響も及ぼさないのでしょうか」

 朝日新聞社に1月、読者から寄せられた質問メールの疑問は、裁判員制度がつくられた時からの課題だ。司法制度改革推進本部の03年の議事録には、弁護士や学者らのこんなやりとりがある。

 「控訴審は一審の記録の検討が中心。市民には負担が重すぎる」

 「一審の内容に誤りがないかを、記録に照らして事後的にチェックすることに裁判官が徹すればよいのではないか」

 結局、控訴審や上告審は裁判官だけで審理することで固まったものの、昨年7月と10月に全国から裁判官が集まった研究会では、さまざまな意見が出た。

 「検察、弁護側とも一審を主戦場にするべきなのは間違いないが、結論に影響のある新たな証拠が控訴審で提出された場合は、どうするのか」

 「仮に、経験則に反するとして一審判決を破棄すれば、国民の常識が反映された結論が誤っていると宣言することになってしまう」

 二審で一審判決を破棄する場合は、自ら結論を出す「自判」をするか「差し戻す」かどちらかを選ぶことになる。

 「有罪から無罪に変える」など被告にとって有利な変更ならまだしも、「無罪から有罪に」という判断を下すことに、抵抗を感じる裁判官は少なくない。差し戻すとなると、改めて裁判員を選び直し、一審と二審の記録を市民に読み込んでもらうなどの必要があり、大きな負担となる。

 最高裁の司法研修所はいま、高裁の裁判官や若手裁判官、刑事訴訟法学者を交えたチームをつくり、「控訴審の審理のあり方」をテーマに研究を続けており、今秋には報告書を公表する予定だ。

 高裁での経験が豊富な裁判官の一人は「これまでよりは当然、一審の判断を尊重することになるだろう」と話す。別の高裁裁判官は「実際に制度が始まり、一審の裁判が一般の国民にどのように受け止められるかによって、控訴審のあり方も変わってくるのではないか」と予測。まさに手探りだ。(岩田清隆)

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