米国の陪審制を描いた往年の名画「12人の怒れる男」(57年)を、50年の時を経てロシアに舞台を置き換え、作り直した映画が23日から国内で公開されている。陪審員に選ばれた12人の市民が人生経験をぶつけ合って結論を導く過程が描かれており、来年5月から裁判員制度が始まる日本でも話題を呼びそうだ。
チェチェン人の少年がロシア軍将校だった養父を殺害した罪に問われた裁判。明らかに有罪かと思われたが、ふに落ちない点に気づいた1人の陪審員が疑問を投げかけると話し合いは深まり、結論は二転三転していく――。
陪審員の職業はタクシー運転手、医師、旅芸人など多彩。人の意見に流されやすい人、外国人に偏見をもつ人、理屈っぽい人……。普通の市民が、「終身刑がかかっているんだ。簡単に運命を決められない!」「現場をここで再現してみようじゃないか」などと、激論をたたかわせる。
7月末に東京都内であった試写会の後には、裁判員制度のPRを兼ねて日本弁護士連合会の広報担当者らによるトークショーが開かれた。
「映画のように、有罪とすることに疑問が残らないかどうか、判断するのが裁判員の仕事です」と弁護士が力説する一方で、試写を見た後の市民からは「ずいぶん責任が重いですね」などの発言があった。
市民12人で話し合う陪審制と比べ、裁判員制度は裁判官3人と市民6人が一緒に話し合う点で大きな違いはある。都内の大学1年生、白石沙織さん(19)は「自分が裁判員になったらどういうことをするのか、イメージが分かった。でも日和見な性格なので、映画のように自分の意見で議論の流れをつくるのは難しいと思う」と話していた。(岩田清隆)
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作品はニキータ・ミハルコフ監督・出演。東京・日比谷のシャンテシネで公開中。今後、大阪、名古屋、福岡など全国各地で公開の予定。