現在位置:asahi.com>ニュース特集>次世代DVD> 記事 東芝HD―DVD 米勢離反の誤算2008年02月17日16時17分 東芝が次世代DVD規格「HD―DVD」事業の撤退も含めて検討に入った。国内のレコーダー市場は、ソニーなどが主導するブルーレイ・ディスク(BD)が9割以上のシェアを占めて圧倒。期待していた海外でも、米映画大手のワーナー・ブラザースなどが相次いでBDへの支持を打ち出し、窮地に追い込まれていた。15日に小売り最大手、米ウォルマート・ストアーズがBD支持を発表し、追い打ちをかけられた格好だ。 ■ワーナー「寝返り」小売りに波及 東芝にとって衝撃だったのは映画ソフト市場で2割のシェアを持つワーナーが先月、BDの単独支持を決めたことだった。これで映画ソフトの7割をBD陣営に占められたからだ。BD陣営は、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼最高経営責任者(CEO)が米ハリウッドを行脚していたともいわれる。 東芝首脳も「ワーナーが向こうに寝返ってから厳しい」と漏らすなど、戦略の練り直しに入っていた。東芝は得意のパソコンへのHD―DVDの搭載を進める戦略だったが、それだけでは不十分なのは明らかだった。 低価格機の投入にもかかわらず、1月下旬のHD―DVDプレーヤーの米市場での販売台数シェアは30%弱。消費者のHD―DVD離れは小売り各社にも波及し、米家電量販店最大手ベストバイ、米オンラインDVDレンタル最大手ネットフリックスと、雪崩を打つようにBD支持が広がっていた。 BD陣営は国内の年末商戦でも圧倒している。 BDは1層あたりの記録容量が現行DVDの約5倍の25ギガバイトで、15ギガのHD―DVDよりも容量が大きい。ソニー、松下電器産業、シャープと、薄型テレビのシェア上位メーカーがレコーダーも販売している点も強みだ。レコーダーはテレビと一緒に購入する客も多いうえ、3社が年末商戦向け新製品を相次ぎ投入して品ぞろえを充実させた。 12月の平均単価はソニー12.2万円、松下14.5万円、シャープ9.8万円と手軽になり、多様な選択肢が需要を喚起した。量販店の売り場でもBDが主役となり、認知度は急速に高まった。 BD陣営はソフト面でも着実に手を打ってきた。映像ソフトメーカーやレンタル事業者と協力し、一部のレンタル店で実験的にBDの映画ソフトの貸し出しを始めた。大型CD店でもBDの棚は拡充された。 ■量販店ではすでに「BD優勢」 「東芝、HD―DVD撤退検討」が伝わった16日、両規格を並べて売っている国内の家電量販店の店頭にも驚きが広がった。東芝はHD―DVDの累計出荷台数を明らかにしていないが、規格として「先細り」になれば「次世代」と期待して買った消費者の不満は高まりかねない。 「とにかく『びっくり』で、分からないとしか言いようがない。夜のニュースをみた客から、『販売をやめるのか』『今の機種は使えなくなるのか』といった問い合わせが数件来ている」 首都圏の大手量販店で、商品の説明に当たっている担当者は、こう話した。 別の量販店の幹部は「東芝から全く何も聞いていない。17日も売り場ではHD―DVDを売り続ける」と話したが、「(正式な発表がなければ)聞いた聞かないのトラブルが生じかねない」とも指摘する。「17日は問い合わせが殺到するだろう」とみる関係者もいた。 ただ、規格争いでは、消費者の間でも「BD優勢」との見方が広がり始めていた。 この日、都内の住宅街にある家電量販店では、HD―DVDの展示は9万4800円の1機種だけで、在庫もゼロ。BDは11万〜20万円台で、約10機種が並ぶ。 店員は「昨年末ごろからHD―DVDはいくら値下げしても売れなくなった。撤退は時間の問題と思っていた」。客の男性(35)は「規格争いは不毛だったが、東芝が決断すれば今後商品を買う消費者にとっては喜ばしいと思う」と話した。 HD―DVDは、発売からまだ2年。「次世代DVD」自体も、ビデオや現行DVDと比べるとまだ圧倒的に普及度が低い。この時点で、撤退に向けてカジを切ることになれば、家庭用ビデオをめぐる規格争いなどと比べ、利用者の混乱は小さくて済み、規格の一本化を果たした次世代DVDの普及に拍車がかかるとの見方もある。 ビデオでは、ベータ方式を発売したソニーが規格争いに敗れ、VHS方式でも発売するまでに13年かかった。ソニーは「敗北」後もベータ方式の利用者に配慮し、02年までベータ方式の録画再生機の生産を続行。75年の1号機発売以来、国内で累計約400万台、全世界で約1800万台を生産した。 PR情報次世代DVD
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