現在位置:asahi.com>ニュース特集>イージス艦衝突> 記事 冬の海、漁船真っ二つ「無事に戻って」 イージス艦衝突2008年02月19日11時35分 千葉・房総半島沖で19日早朝、海上自衛隊の最新鋭イージス艦が、親子を乗せた小さな漁船と衝突した。漁船の船体は真っ二つに割れ、船首だけを残して真冬の海に沈んだ。何が起きたのか。どうして防げなかったのか。父と子の行方は――。現場の海域では必死の捜索が続いた。
新勝浦市漁業協同組合が事故を把握したのは、午前5時。野村正二参事の自宅に、勝浦海上保安署から一報が届いた。 野村参事は漁協職員らの自宅に連絡。午前7時ごろには4、5人が同漁協川津支所に集まり、安否の問い合わせや、地元住民、報道機関への対応に追われた。ある住民は「(自衛隊が)守るべき自分の国民を犠牲にするなんて」と語った。 同支所には、行方不明になった吉清治夫さん(58)、哲大さん(23)親子の仲間が心配して詰めかけた。その一人の吉野正実さん(58)によると、治夫さんは一人息子の哲大さんが漁業を継いでくれることを楽しみにしており、一緒に船に乗るようになって喜んでいたという。 「仲の良い親子で、息子さんは家族思いの優しい子。無事に戻ってきてほしい」。治夫さん宅の近所の女性(70)も、声を震わせた。 近所の主婦によると、マグロ漁は天候に左右されることが多い。治夫さんは最近、「漁に出られなくて困りました」と、残念そうな表情を見せることもあったという。 「てっちゃんは、まだ成人したばかりなのに……」。近所の女性は若い哲大さんの身を案じている。近辺の漁師仲間には午前6時ごろ、携帯電話で連絡が回り、救出に向かったという。 勝浦市農林水産課によると、清徳丸は船長約12メートル、7.3トンで、まぐろのはえ縄漁の船としては決して大きくない。市内では、この漁をやっている漁師は少ないという。 千葉県は午前7時、県沖合を航行していた県の試験調査船「房総丸」と「ふさみ丸」を事故現場の海域に向かわせた。午前8時半には、漁業取締船「ふさかぜ」も勝浦港から派遣し、ともに吉清さん親子を捜している。 午前10時過ぎ。千葉県勝浦市の川津漁協卸売市場に太鼓の音が響き、読経が流れた。行方不明者の無事を祈る「御法楽(ごほうらく)」という伝統儀式。吉清さん親子の救出に向かった漁師仲間の留守を預かる妻をはじめ、約50人の女性たちが集まった。岸壁でろうそくをともし、海に向かって手を合わせ、親子の生還を祈った。 PR情報 |