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イージス艦焦点 レーダー員、船団把握は?情報伝達は?

2008年02月24日01時53分

 イージス護衛艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故で、あたごの見張り員が漁船の灯火を継続して追うのを怠り、接近に気づくのが遅れた疑いが第3管区海上保安本部などの調べで明らかになってきた。その一方で、レーダーで接近する漁船団をどのように把握していたのか、なぜ自動操舵(そうだ)で漁船団に向かって直進し続けたのか――。いくつもの疑問が浮かんでおり、あたごのレーダー員や当直士官らの判断や行動もまた、今後の捜査の焦点になる。

 イージス艦は他の船にどのように注意を払っているのか。艦橋には当直士官以下の8人、両側に見張り員が1人ずつ配置される。見張り員は目視と双眼鏡で洋上を見続け、船舶を発見すると、マイクとヘッドホンが一体になった「ヘッドセット」で艦橋内に連絡する。

 その内容は伝令員から「5時方向、4マイル、小型漁船」などと当直士官に伝えられ、当直士官は洋上をチェックし、レーダー員に指示。相手船の位置や針路、速度を特定し、回避の必要性を判断する。

 レーダー員も常時、モニターをチェック。船を見つけると当直士官に報告し、見張り員が目視でチェックする。

 「緊急性を感じなかった」「そのまま進めば、自船の後ろを通り過ぎると判断した」――。衝突12分前の午前3時55分に灯火を視認した状況について、見張り員はこう答えたという。

 あたごは10ノット(時速18キロ)で航行。清徳丸が僚船並みの航行速度とすれば、このとき両船は7キロ前後離れていた。

 見張り員がその後、右前方に緑色の明かりを認めた時刻は衝突2分前の同4時5分。1分後に緑色の明かりが速度を上げて走るのを見て、漁船とわかったと説明した。

 防衛省はこの漁船を清徳丸と説明しているが、現場海域にいた漁船の証言などで、清徳丸の僚船だった可能性が浮上。衝突までの12分間、当直員が清徳丸の存在を見落としていた疑いが出ている。

 午前4時が当直の交代時間。交代前の当直員がすでに清徳丸を含む漁船団の灯火を確認していた可能性が強いとみられ、どのように引き継ぎが行われたのかも焦点だ。

 事故当時も屋外の見張り員を含め艦橋周辺には10人がいた。特に視界が悪くなる夜間はレーダーによる監視が重要だ。

 清徳丸の前後にいた船団の僚船はレーダーなどで衝突約30分前にはあたごの接近に気づき、その後2〜3キロに近づいた地点で相次いで回避行動を取っている。あたごのレーダー員の監視状況も捜査の対象となる。

 衝突1分前まであたごは自動操舵で直進していた。そもそも他の大型船や漁船団の存在が珍しくない海域で、なぜ当直士官が自動操舵を続けさせたのか。防衛省関係者は「発生当時の現場海域の混雑状況の解明がポイントの一つ」とみる。

 清徳丸の破損状況から、あたごは艦首から清徳丸の左舷中央に突っ込んだとみられる。海上衝突予防法では、両船の位置関係によって、どちらに衝突回避義務があるかを定めているが、3管はあたご側に回避義務があったとみている。

 当時の状況から裏付けるため、3管はあたごの捜索で押収した航海日誌や航法装置記録を分析。清徳丸についても前後の僚船があたごを回避していくなか、どう航路を取ったのか調べる必要があるとして、回収した全地球測位システム(GPS)のデータ復元を試みている。

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