海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故で、防衛省や海上幕僚監部の首脳が、発生直後にあたご航海長から話を聴いた際、航海長が衝突直前までの当直士官だったことを認識していなかったことがわかった。吉川栄治・海上幕僚長が4日、会見で明らかにした。
あたご航海長は2月19日午前10時、ヘリで東京・市谷の防衛省に呼ばれて海幕幹部から事情聴取を受け、「衝突2分前に緑の明かりに気づいた」などと説明。同正午からは大臣室で石破防衛相や増田好平事務次官にも同じ説明をしたとされる。吉川海幕長によると、いずれの聞き取りでも、衝突時の当直員から聞き取ってきた事故前後の状況のメモを元に、航海長が衝突2分前から衝突までの状況を説明したという。
しかし、航海長は午前4時前に当直員が交代するまでの当直士官で、衝突12分前の漁船の視認や引き継ぎの状況なども知りうる立場だった。このため、省内から「航海長の当直時の説明がなかったのはおかしい」との声が出ていた。
吉川海幕長は「衝突前後の状況を把握するために『状況がわかる者を呼べ』と指示しており、航海長は『船の運航(全般)に携わる人間』という認識だった」とし、あたごでほかの乗組員から事情聴取していた護衛艦隊幕僚長からのファクスが同日夕方に来てから、航海長が衝突前の当直士官だったことを知ったという。