一連の不祥事や事故に対する処分を発表する石破防衛相=21日午前、防衛省で
海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸が衝突した事故で、防衛省は21日、あたごの艦全体での見張りが適切でなく、回避義務があったあたご側の措置も十分でなかった可能性が高い、とする中間報告を発表した。また、昨年12月の護衛艦「しらね」での火災など海自の不祥事が相次いでいることから政府は同日、海自トップの吉川栄治・海上幕僚長を退任させ、後任に赤星慶治・佐世保地方総監をあてる人事を閣議決定した。石破防衛相は2カ月分の大臣給与を返納。増田好平事務次官は減給2カ月(10分の1)とし、一連の不祥事などで計88人を処分した。
石破防衛相は記者会見で「国民におわびするとともに、再発防止策をすみやかに実行したい」と述べた。
同省海上幕僚監部の艦船事故調査委員会によると、事故直前の2月19日午前4時6分ごろ、当直員が右前方約500メートルを左に進む2隻を確認。直後に複数の当直員が、当直士官が「この漁船近いなあ」と話しているのを聞き、赤灯をつけた清徳丸とみられる漁船が右前方70〜100メートルの位置に近づいているのを視認したという。
その後、当直士官が「両舷停止、自動操舵(そうだ)やめ」と指示。さらに当直士官が「両舷後進いっぱい」と言いながら艦橋右側の見張りデッキに出ようとした時に衝突音を聞いた。「両舷停止」から「後進いっぱい」まで5〜10秒ほどという。
艦橋などにレーダーのモニターは3台あったが、清徳丸をレーダーで確認していたという当直員の証言はないという。
事故調査委ではこれらの証言から、「艦全体の見張りが不適切だった。あたごに回避義務があったが、適切な回避措置を取っていない。衝突直前の回避措置も、十分なものではなかった可能性が高い」としてあたご側の過失を認めた。
吉川海幕長は06年8月に就任したが、イージス艦の情報漏出事件やインド洋での給油量取り違え問題、しらねの火災などが相次ぎ、こうした一連の不祥事の責任を取って退任する。
防衛省はいったん加藤保・海幕副長を海幕長に起用する案を固めたが、官邸を含めた調整の結果、赤星氏が後任となった。24日付。