不審なワゴン車停車位置
元厚生事務次官宅が相次いで襲撃されて3人が死傷した事件のうち、東京都中野区の吉原健二さん(76)宅で妻靖子さん(72)が刺されて重傷を負った事件の約7時間前に、帽子をかぶった30〜40歳くらいの男が乗るワゴン車が、近くの路上に止まっていたことがわかった。目撃者が取材に明かした。
警視庁の事情聴取に靖子さんは「犯人は30〜40歳くらいで野球帽か作業用の帽子をかぶっていた」と証言。年齢や帽子をかぶった点が共通するため、警視庁は、ワゴン車の男は、下見などのためにいた犯人だった可能性もあるとみて、車の特定を急いでいる。
ワゴン車が目撃されたのは、犯人が逃走経路に使った南北に走る道路上。近くに住む自営業の女性(48)によると、18日午前11時半ごろ、自転車で通りかかった際、吉原さん方から南に約140メートル離れたマンション駐車場の出入り口前に止まっていた。吉原さん宅がある北方向を向いていたという。車の位置は、犯人が逃走する際に付けたとみられる路上の血痕が途絶えた地点から、南に約60メートルの場所にあたる。
ワゴン車は黒か紺のような色で、女性は「古い感じだった」と言う。運転席側のドアの縁に、擦って白くなった跡があった。エンジンはかかっていなかったという。女性は「この場所は迷惑になることがわかっているので、近所の人なら絶対に駐停車しない」と不審に感じたという。
女性によると、運転席にいた男は、つばが四角く、暗めの色の野球帽のような帽子をかぶっていた。男は30〜40歳くらいで、髪は短めのようだった。左下をじっと見ており、女性は「助手席に置いた何かを見ているようだった」と話した。
同庁によると、靖子さんは18日午後6時半ごろ、「宅配便です」との呼び掛けに応じて玄関ドアを開けたところ、作業衣上下を着て、帽子をかぶった男にいきなり刃物で刺された。路上に残された血痕から、犯人は襲撃後、吉原さん宅の玄関を出て東に行き、約10メートル先の交差点を右に曲がってこのワゴン車が止まっていた道路に入り、南へ逃走したとみられる。
血痕が途絶えた地点の付近では、事件発生とほぼ同じころ、車が急発進する音を近くの女性が聞いていた。スライド式のドアが閉まる音の直後に急発進し、猛スピードで北側へ走り去ったようだという。