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三浦元社長、終わった事件 遺族、本当のこと言って

2008年02月25日01時40分

 27年前の「一美さん銃撃事件」で逮捕された三浦和義元社長(60)は、サイパンの地元警察の施設に収容された。面会した領事らに「終わった事件だ」などと話したという。25日は一美さんの55回目の誕生日。直前の急展開に、母親の佐々木康子さん(75)は「本当のことを言ってほしい」と話した。

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三浦和義元社長の身柄が拘束されているとみられるサイパン警察の収容施設。日本からの報道陣が集まっていた=24日午後6時57分、サイパン・ススペで

 在サイパン出張駐在官事務所などによると、矢沢憲治領事ら3人が、現地時間の24日午後4時ごろから約1時間、サイパンの収容施設で三浦元社長と面会した。三浦元社長は「終わった事件だ」「日本で無罪が確定しているのに」などと話し、逮捕に驚いた様子だったという。健康には問題なく元気そうで、持病の腰痛についても「持参したコルセットを着けていいと言われている」と話したという。

 三浦元社長が領事らとの面会を希望し、同事務所が現地の検事局に要請して実現した。

 面会場所は、サイパンの地元警察の収容施設。刑務所、拘置所、入管収容施設を兼ねているという。古い平屋の建物が並んでおり、「制限地区」という看板が付けられている。壁は高さ約3メートルの金網で、明かりが漏れ、人影も外から見える。

 施設では、外部との電話が自由に認められているといい、日本での刑事裁判の弁護人を務めた弁護士とは逮捕後すでに十数回話したという。しかし、サイパンに着いている妻との面会は認められていないという。

 今後始まるとみられるロス市警への移送の可否をめぐるサイパンの裁判所での面接については、三浦元社長は私選で弁護人を付けたいといった要望は出しておらず、移送を拒む意思も特に見せていないという。三浦元社長は25日にも裁判所に出向き、逮捕容疑などについて意見を述べる可能性があるという。

 ●遺族「本当のこと言って」

 殺害された三浦一美さん(当時28)は、生きていれば25日でちょうど55歳になる。

 川崎市に住む一美さんの母親佐々木康子さんは24日、「誕生日を前にして少しだけ光が差してきた。私は年なので最後まで見守れるか分からないが、がんばりたい」と心境を語った。

 康子さんは、「疑惑の銃弾」として事件に注目が集まった84年初めから度々、夫の良次(よしつぐ)さん(90年に死去)とともに日米を往復。情報を集め、両国捜査当局の橋渡しになろうと動き回った。その思いは、夫妻が85年12月に著した「肩書のない捜査官」(文芸春秋)に「病院のベッドで寝ていたときの一美の顔は、生涯忘れられない」「一美の無念をはらすために、何度でも太平洋を往復する」と記していた。

 88年10月、一美さん殺害容疑で三浦元社長が逮捕された。一審は無期懲役だったが、98年7月の控訴審では逆転無罪。法廷に通い続けた康子さんは「亡くなった娘と主人に何て報告していいか……」と声を震わせた。無罪判決は03年3月に最高裁で確定した。

 それから5年。「捜査が続いていることは全く知らなかった。もう、だめだと思っていた」と康子さん。「三浦元社長の逮捕」を知った23日夜、自宅の仏壇に手を合わせ、一美さんと良次さんに報告した。

 三浦元社長に対し、康子さんは「ちゃんと本当のことを言ってほしい」と求めた。今後、亡き良次さんと一緒に集めた情報を日本の捜査当局を通じ、ロス市警に提供する考えだ。

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