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州刑法改正、三浦元社長訴追に道開く 適用の是非焦点

2008年03月01日17時02分

 米国ロサンゼルス市内で81年に妻を殺害したとして元雑貨輸入販売会社社長、三浦和義容疑者(60)が逮捕されたことがわかって1日で1週間。同市があるカリフォルニア州では、04年の州法改正で、米国外で判決が確定した容疑者の再訴追が可能なことをはっきりさせていたことが分かった。元社長の身柄を拘束しているサイパンの自治領政府は、カリフォルニア州の引き渡し要請に応じる見通しだ。一方、ロサンゼルスでは、日系人社会の印象が悪くならないか、懸念が広がっている。

 銃撃事件の舞台になった米カリフォルニア州では、同じ犯罪行為の刑事責任を何度も追及することを禁じる「一事不再理」の原則を定めた州刑法が04年に改正されていた。この改正は、米国外での裁判に対して同原則を適用しないとするもので、ロス市警など捜査当局は、日本で無罪判決が確定した元社長を同州で訴追できると判断したという。

 ただ、元社長の日本での無罪確定は03年で同州法改正前。さかのぼって同法が適用されるか、議論が分かれる可能性がある。

 米国で「二重危険の禁止」と呼ばれる同原則を記した州刑法は、改正前は「米国内の他州や他国で有罪または無罪判決を受けた場合は」訴追できないと定めていた。ロサンゼルス市当局者は「この法改正で元社長の訴追が可能になった」とロサンゼルス・タイムズ紙に語った。

 02年にロサンゼルス郡保安官が殺害されてメキシコ人容疑者がメキシコに逃亡する事件が起きたことから、法改正の機運が高まり、04年9月に改正法が成立。条文から「他国」が削られた。

 ロサンゼルス郡検事局は2月29日、元社長の容疑事実を記したロサンゼルス市警の宣誓供述書を、元社長が勾留(こうりゅう)されているサイパン当局に送った。元社長のロサンゼルスへの移送と審理に向けた第1段階で、この書類の到着を受けて、サイパン当局は移送手続きをどう進めるかを3日に協議する予定だ。

    ◇

 自治領政府は、朝日新聞の取材に対し、米カリフォルニア州からの引き渡し要請書が届けば原則として応じるとの姿勢を明らかにした。

 現地の検事局によると、移送の適否を判断する審理には、移送を要請する州と、受ける側との、双方の知事が署名した書面を裁判所に提出することが必要という。

 これについて、同政府のチャールス・レイエス広報官は「カリフォルニア州からシュワルツェネッガー知事の署名が入った引き渡し要請書が届いたら、原則としてこちらの知事が応じない理由はない」と述べた。

 またブラックリスト上の人を水際で警戒する同政府の入国管理システムで三浦元社長逮捕につながったことについて、広報官は「国境管理が適切に行われていることを示せた成功例」と述べた。

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