【アナーバー(米ミシガン州)=鵜飼啓】米政府のチベット問題特別調整官を務めるドブリアンスキー米国務次官がアナーバーで21日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と会談した。ブッシュ政権は北京五輪に参加する方針を堅持して中国に配慮を示す一方、チベット側への心情的な肩入れものぞかせた。
チベット騒乱後、米政府高官がダライ・ラマと会談するのは初めて。米政府の求めで実現。ドブリアンスキー氏は中国にダライ・ラマとの対話に応じるよう呼びかけた。
ドブリアンスキー氏は、ダライ・ラマが滞在していたミシガン大にわざわざ出向いた。中国の要人との会談では常にチベット問題を取り上げるというブッシュ大統領の強い意向が働いたと見られる。
ドブリアンスキー氏はこの日、ワシントン・ポストへの寄稿で、チベット騒乱の根源には「チベット人の宗教や文化などの自由に対する中国の長期的な抑圧がある」と分析。中国政府がダライ・ラマに対して繰り返す激しい批判は「緊張をあおるだけだ」と反対を鮮明にした。
一方で、ブッシュ大統領は北京五輪の開会式欠席を打ち出した欧州の一部首脳に比べて抑制的な対応を取る。米国でも議会などで開会式欠席を求める声があるが、ハドリー大統領補佐官(国家安全保障担当)は「静かな外交」を通じて中国に働きかけることが大事だとして、開会式欠席を「逃避」と非難する。
背景には、中国との正面対決は避けたいとの思いがある。北朝鮮核問題などで米中が歩調を合わせる局面が増え、ヒル米国務次官補(東アジア太平洋担当)は「米中関係は世界で最も重要な二国間関係だ。長期的には中国との良好な実務関係が必要との認識で、中国での出来事に注意を払っている」と語る。