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聖火は何を照らす スローガンかすんでいく北京五輪

2008年4月25日12時26分

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 2週間ほど、北京に出張し、21日に帰国した。

 聖火リレーを伝える国営中国中央テレビは連日、世界各都市での「大歓迎ぶり」を強調していた。チベットを巡る妨害活動に絞って騒ぐ欧米メディアとの温度差はすごい。

 映像で目立つのは、打ち振られる中国国旗と中国系住民の喜びの声。北京の天安門広場で胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席がともした火は、五輪の象徴というより、中国が国力を誇示する「聖なる火」に見えてくる。もっとも、「国境なき記者団」などによる抗議も、五輪の注目度を利用したプロパガンダなのは言うまでもない。

 日本での報道が気になり、動画投稿サイトにアクセスしたら、遮断された。検索したキーワードは「チベット」。翌日、翌々日も試したがダメ。北京在住の友人に聞くと「中国にとって都合の悪いサイトは当局が検閲して遮断するらしい」。米CNN、英BBC、NHKのテレビも、当局の意向に沿わない内容だと突然、画面が黒くなり、音声も消えることがあるという。

 情報を封鎖する一方、中国メディアは欧米の偏向報道を糾弾する。国民の愛国心をあおり、仏系スーパーを標的としたデモを誘発している。

 26日、日本勢のメダル量産に沸いた五輪以来、10年ぶりに聖火が長野市を走る。出発式で一般客を締め出し、伴走する警備の壁で沿道から聖火を見られるかも微妙。祝祭ムードは伝わってこない。

 人種や宗教の違いを超えて人類をつなぐはずの聖火が、国家間の亀裂を深めていく。一見皮肉だが、東西冷戦時のボイコットなど、五輪は国際政治を映し出す鏡でもある。「一つの世界、一つの夢」。北京五輪のスローガンがかすんでいく。(稲垣康介)

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