日中両政府が、7日の福田首相と胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との首脳会談後に発表する「共同文書」に、基本的人権など国際社会の普遍的価値の重視を共通認識として盛り込む方向で最終調整していることが分かった。日中関係筋が5日明らかにした。
6日からの胡主席訪日は、3月のチベット騒乱後初の外国訪問。同筋によると、チベット問題で透明性や直接対話を求めてきた日本側が事前折衝で提起した。共同文書ではチベットには直接言及せず、一般的な表現で、アジアや世界で大きな役割を担うようになった両国が国際社会の普遍的価値を共有するとの意思表示をする方向だ。
中国はチベット問題について「内政問題」とする一方、ダライ・ラマ側との対話再開など、北京五輪を前に国際社会からの批判を意識した対応を見せている。共同文書の文言も、前向きな姿勢を打ち出す狙いがありそうだ。ただ、「人権」という言葉には中国側に抵抗もあり、表現を巡る最後の詰めが続いている。
歴史問題では、戦争や侵略に対する日本の「おわび」や「反省」は盛り込まず、歴史を踏まえた未来志向の表現とすることで合意。「戦後日本の平和国家としての歩み」への前向きな評価が明記される見込みだ。この表現は、06年の安倍前首相訪中時の発表文書でとられたが、両国関係の基本原則をうたう共同文書に記されるのは初めて。
また外務省は5日、相手国民を拘束した際の通報の義務化や領事館などへの立ち入り条件の厳格化を規定した日中領事協定に実質合意したと発表。相互に文化センターを設置する協定も首脳会談で合意する運びだ。(塚本和人)