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子作り不調、パンダレンタル5年延長 神戸の王子動物園

2010年6月7日17時56分

写真タイヤの上でくつろぐメスのタンタン=6月、神戸市灘区の市立王子動物園、日比野写す

写真食後に水風呂につかるコウコウ。「おっさんパンダやぁ〜」と幼稚園児に指を差されても気にする様子はない=6月、神戸市灘区の市立王子動物園、日比野写す

 神戸市立王子動物園(神戸市灘区)が中国から10年間の約束で借り受けているジャイアントパンダのコウコウ(オス)とタンタン(メス)が、7月に期限を迎える。2世誕生を目指したが互いの相性が悪く、繁殖はうまくいっていない。神戸市はわずかに残る生殖年齢に望みをつなごうと決め、7日、借受期間の5年間延長を発表した。

 2頭は1995年9月、中国・四川省生まれ。2000年7月と02年12月に王子動物園に来た。95年1月の阪神大震災から立ち直ろうとする市民に明るい話題を提供しようと、繁殖研究目的で借り受けた。公募で選ばれた名前「興興(コウコウ)」には復興への願いが、「旦旦(タンタン)」には「新しい年(元旦)」を待ち望む思いが込められている。

 当初、交尾による繁殖を目指したが、コウコウが寄り添おうとしても、タンタンは「ワン!」とほえて拒絶する。気が強いタンタンに威嚇されると、おっとりした性格のコウコウはすごすごと引き下がってしまう。「文字通りの草食系男子」と奥乃弘一郎副園長。

 03年から人工授精に切り替えたが、07年は死産、08年は生後4日目で死亡。我が子の死に遭遇したせいか、タンタンは、コウコウが「その気」になっても発情しなくなった。09年は精液を冷凍保存して人工授精を試みたが、妊娠しなかった。

 同園によると、パンダは4〜5歳で成熟し、10歳前後が最も繁殖例が多い。記録の残る最高齢出産は18歳。20歳を超えるといつ寿命が尽きてもおかしくない。2頭は今年14歳で「タイムリミット」が迫る。市はパンダの交換を検討したこともあるが、積み重ねた経験とデータがあるうえ根強いファンも多く、「赤ちゃんができないから『お払い箱』」というわけにはいかないのが実情だ。

 神戸市はこれまで、飼育繁殖研究費などの名目で年100万ドル(約1億円)を中国野生動物保護協会に払ってきた。延長後は年50万ドルに減額される。

 パンダの発情期は春先の約2週間と言われ、受精可能なのはそのうち1〜2日。尿中の卵胞ホルモン値の変化などで人工授精のタイミングを推し量る、決して容易ではない作業だが、奥乃副園長は「残された少ないチャンスに賭ける」と意気込んでいる。(日比野容子)

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