2009年4月17日18時32分
カメラを向けられポーズをとるラッキーパンダ=埼玉県所沢市の所沢航空記念公園
地元紙「日刊新民報」に掲載されているラッキーパンダの4コマ漫画
出会ったその日はラッキーになれる――。神出鬼没の着ぐるみキャラクターが、埼玉県所沢市で人気だ。その名は「ラッキーパンダ」。「まちの人々に笑顔を」と始めた活動は今年で10年になる。
ある晴れた日の朝8時過ぎ。所沢市内の大通りをパンダが手を振りながら歩いていた。ペロッと舌を出した、おどけた顔、胸には幸福のお守りの四つ葉のクローバー。
会社や学校へ急ぐ会社員や学生らは、驚いたり手を振ったり。通勤途中の女性から携帯電話のカメラを向けられると、すかさずポーズをとる。保育園の前では、「ラッキーパンダー」と子どもたちの大きな歓声が飛んだ。
ラッキーパンダは、月に2、3回、朝の通勤・通学時間帯に市内の所沢航空記念公園周辺に出没する。イベントや商品のPRはしない。「ただ歩く」だけ。ただ、雨にはめっぽう弱い。
同市在住の漫画家、双団平(そう・だんべい)さん(45)が生み出したキャラクターだ。99年12月、営むギフトショップの宣伝用に、パンダの着ぐるみに、チラシ入りのティッシュを配りに行ってもらうと、子どもたちが群がってきたという。
「普通にまちを歩いた方が喜んでもらえるかも」
00年2月ごろから、まちを歩くようになった。初めは名もないただのパンダだったが「会えれば、その日はラッキーになれる」とのうわさが生まれ、「ラッキーパンダ」になった。
2年前の2月、自転車に乗った男子学生がすれ違いざまに声をかけてきた。「パンダ、受験頑張ってくるよ」。間もなくラッキーパンダのホームページの掲示板にこんな書き込みがあった。「パンダに会えてテストが思ったよりできた。合格発表の日にも会いたい」
一方で、不審者に間違われて警察に通報されたことも。静岡県で、子どもがリスの着ぐるみを着た男にわいせつ行為をされる事件が起きた時、周囲から「やめた方がいい」と諭された。けれども、双さんは「ここでやめたら『変わった人』で終わってしまう。続ければわかってくれる人もいるはず」。
まちを歩き続けて10年、存在は広く知れ渡り、地元のイベントに呼ばれたり、タウン誌に紹介されたり。01年からは地元の地方新聞に4コマ漫画も描いている。
「小さな幸せに、気づいてもらうきっかけでありたい。閉塞(へいそく)感から、人々の心に余裕がなくなっているように思う。まだまだラッキーパンダは必要ですね」(中野龍三)