現在位置:asahi.com>ニュース特集>’08 米大統領選> 記事

オバマ氏自滅かヒラリーおろしか 民主、一進一退レース

2008年03月05日20時45分

 全米を覆い尽くすかに見えたオバマ上院議員の勢いに、ヒラリー・クリントン上院議員が待ったをかけた。米大統領選の民主党の候補者指名争いは4日、クリントン氏が「ファイアウオール(防火壁)」と位置づけたテキサス、オハイオ両州を押さえ、連勝街道を走ってきたオバマ氏は再び、一進一退の攻防に引き戻された。今後、予想される展開を三つのシナリオにまとめてみると――。

写真

今後のシナリオ

 ●シナリオ(1)「オバマ氏の自滅?」

 今回あらわになったのは、勢いづいていたオバマ氏の意外なもろさだ。

 4日付米紙ワシントン・ポストは、前日の記者会見の最中にオバマ氏が席を立ったことを厳しく批判した。カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)への態度をめぐり、オバマ陣営がカナダ政府に内々に釈明していた疑惑が浮上。一方でオバマ氏との関係が取りざたされるシカゴ政界黒幕の裁判も始まり、記者団が質問攻めにしようとしたところだった。逃げた形のオバマ氏に、ポスト紙は不満を突きつけたのだ。

 草の根の若者を中心とした支持を背景に、オバマ陣営は米メディアと「蜜月」関係を築き、丁寧な対応をしてきた。だが選挙戦が長期化するにつれ、その関係も次第にささくれだってきた。

 代議員数の多い大規模州では底堅さが目立つクリントン氏。逆にオバマ氏は、典型的な「浮動」州として本選挙でも重視されるオハイオ州で予備選を落としたことで、「当選可能性」に疑問符をつけられた。

 オバマ氏への支持はムード先行のきらいもあり、追い風がやめば自滅しかねない危うさをはらむ。これまでの勢いを長期間、維持し続けるのは容易ではなさそうだ。

 ●シナリオ(2)「ヒラリー降ろし?」

 とはいえ、獲得代議員数で劣るクリントン氏が逆転するには、特別代議員を大量に取り込むか、長期戦に持ち込んでオバマ氏の自滅を待つほかない。オバマ氏は敗れたテキサス州の演説で「今夜何が起きても、我々は今朝持っていた代議員数のリードを保っている。我々は指名獲得の途上にある」と、優位は変わらないことを強調した。

 我慢比べの長期戦の先に、クリントン氏を待ち受けるのは、民主党への悪影響を懸念する党内の冷ややかな視線だ。今回の大統領選から撤退したニューメキシコ州のリチャードソン知事も最近、「ヒラリー降ろし」に踏み切った。「(4日の)決戦を過ぎて代議員を多く確保した方が候補者指名を得るべきだ」。暗にオバマ氏が候補になるべきだと主張したのだ。

 やはり大統領選からの「撤退組」ドッド上院議員もオバマ氏支持を表明。これまでクリントン氏を支持していた特別代議員が、まとまってオバマ氏支持を表明するとの報道もある。クリントン氏が党内外の撤退圧力を、どうしのいでいくかが問われそうだ。

 ●シナリオ(3)「党大会で決着?」

 6月上旬までの予備選・党員集会で決着がつかなければ、8月末の民主党全国大会で決めるという「大混乱シナリオ」が現実味を帯びてくる。

 1924年の党大会ではなかなか候補が決まらず、半月余りで100回以上投票が繰り返された記録も。その後の規則改正でこうした心配はなくなり、今回は仮に党大会にもつれ込んでも1回の投票で指名が決まる見通しだ。

 「海図なき航海」は民主党にプラスか、マイナスか。最近はそんな議論も盛んになってきた。

 民主党の各予備選は軒並み過去最高の参加者数を記録。民主党が注目を浴びているのは間違いなく、11月4日の本選挙でも有利に働くだろう。そんな皮算用がある。

 一方で、共和党側にはこの「混乱」を歓迎するムードも。このまま民主党内の亀裂が深まれば、ブッシュ政権の失政の痛手に苦しむ共和党が助かるというわけだ。

PR情報

このページのトップに戻る