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市橋被告雇った会社に取引停止 「身元確認不安」

2010年1月7日15時0分

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写真市橋被告が仕事を探して立っていた通り。紙袋を一つ持っていたという=大阪市西成区、丸山写す

 英国人女性に対する殺人などの罪で起訴された市橋達也被告(31)が偽名で働いていた大阪府の建設会社が、元請け会社などから相次いで取引停止を申し入れられ、困惑している。整形した市橋被告の顔写真を見て、「似ている」と警察に通報して協力したにもかかわらず、寄せられたのは「作業員の身元確認が不十分なところと仕事はできない」という反応だった。中小の建設業界では、身元が確かな作業員を雇おうとしているが、若手の労働者不足からなかなかうまくいかないようだ。

 昨年11月。市橋被告が働いていたことが報じられると、同社にはその翌日から「未来永劫(えいごう)、取引をやめたい」「ほかの作業員は大丈夫なのか」といった問い合わせが相次いだ。

 問い合わせを入れたある土木建築会社の社長は、同社と当面、取引をやめる考えだ。社長の会社が元請けとなる建築現場に市橋被告は約10カ月間派遣されていた。熱心な働きぶりだったが、「気持ち悪いと思うのは人情。こればかりは仕方ない」と話す。

 建設会社によると、実際の取引停止は1社にとどまるが、役員は「内々に仕事の発注を控えた取引先もあるはず。少なくとも1千万円は損失が出た」と話す。民間の信用調査会社によると、同社の08年度の売上高は約1億5千万円。警察庁は昨年12月、市橋被告の逮捕に協力した4人に報奨金を支払うと発表したが、同社は対象にならなかった。

 市橋被告がここで働き始めたのは、2008年8月19日にさかのぼる。日雇い労働者が集まる大阪市西成区で「お金が必要なので使ってほしい」と社員に声をかけ、雇われた。「井上康介」と名乗り、契約書に32歳、緊急連絡先に大阪市港区の住所と電話番号を書いた。

 じつは同社では過去にも作業員の偽名が発覚し、元請け会社から取引を停止されたことがあるという。だが役員は「身元確認を厳格化したら人が集まらず、事業が立ちゆかない」と明かす。

 大阪府中小建設業協会は加盟社に対し、保証人を立てるなど、身元が明らかな作業員を雇うよう指導している。協会の岡野三郎会長(81)は「今は労働法制も整備され、使用者の責任も厳しく問われる」と話す。

 大阪府内の別の建設会社社長は「西成の労働者は高齢化している。経験や技術がある30〜40代の人を集める上でも身分確認でハードルを上げるわけにはいかない」と話す。指名手配された容疑者のポスターを社内に張るなど、犯罪者が居着かないような環境作りが必要だとしている。(丸山ひかり)

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